社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

済生春秋 saiseishunju
2023.10.04

第128回 海外旅行の荷物

 9月中旬にベトナム・ダナン市に出張した。3泊(1泊は機中泊)4日と短かったが、4年ぶりの海外である。
 新型コロナ関係の規制のほとんどが解除されたので、この分助かった。

 海外旅行の準備で悩むのは、携帯荷物である。出発の2日前から着替え、洗面道具、常備薬など必要なものをかばんに入れていく。短い旅でも「これも必要」と入れていくと、相当の量になってしまう。
 機内に預ける大きいスーツケースであれば、余裕がある。しかし、今回は機内持ち込みだけとし、荷物を絞り込んだ。それでもかばんは、大きく膨らんだ。
 今の私の身体は、腕の筋肉が萎え、体幹がしっかりしない。重い荷物を持って長距離を歩くと、左右に揺れる。階段も心配になる。荷物をできるだけ軽くしようとしたが、二つのかばんの合計が10キロを超えた。原因は、資料と本だ。
 両手に重いかばんを持ち、よろめきながら歩く。ただ、かばんを持って歩かねばならないところは、わずかで、転倒することはなかった。

 海外旅行での失敗や事故は、必ず起きる。中でも荷物に関することが多い。
 35年ほど前、日本からアメリカの国際空港(名前は忘れてしまった)乗り換えでアトランティックシティ空港に向かったとき、機内預かりのかばんが出てこない。他の飛行機に乗せられてしまった。
 航空会社のデスクで滞在ホテルを伝え、届けてもらう手配をした。航空会社は、サバイバルキットと称した洗面用具の入った小さな袋をくれた。
 翌日の夜にかばんは損傷されることなく、届けられたが、初めての土地で大変不自由した。この時の経験から当座必要な物は、機内持ち込みにするようにした。

 40年ほど前、ロンドンで勤務していたころヒースロー空港で機内に預けたスーツケースの鍵が壊され、中の貴重品が盗まれる事件が頻発した。日本人のスーツケースが狙われやすいと在留邦人の間で話題になった。
 私もこの被害に1度あった。スイスからの家族旅行の帰り、ヒースロー空港でスーツケースの鍵が壊されて出てきた。中には着替えた下着類などしかなく、なにも盗まれなかった。スイス航空に申告すると、スーツケースの修理費等きちんと補償してくれた。

 海外旅行は、どんなに回数を重ねても、失敗の連続である。最近はデジタル処理が多くなったので、一層戸惑う。
 重い荷物に翻弄されながらも、それでも海外旅行で学ぶことは尽きない。

炭谷 茂

すみたに・しげる

1946年富山県高岡市生まれ。69年東京大学法学部卒業、厚生省に入る。自治省、総務庁、在英日本大使館、厚生省社会・援護局長などを経て2003年環境事務次官に就任。08年5月から済生会理事長。現在、日本障害者リハビリテーション協会会長、富山国際大学客員教授なども務めている。著書に「環境福祉学の理論と実践」(編著)「社会福祉の原理と課題」など多数。

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