済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
今年も夏は、過ぎていく。今年は、昨年よりも厳しい夏だった。台風の襲来や南海トラフ地震注意報の発令があったが、海水浴場にはたくさんの人が押し掛けた。
夏休みが終わった今ごろは、静寂さを取り戻しただろうか。
50年ほど前の8月末、富山県高岡市の雨晴(あまはらし)海岸に一人で行った。小さいころは毎年、家族で海水浴に行って楽しかった思い出の地だ。当時は家業が安定し、私の人生で最も幸せな時期だった。
夏になれば、県内外からの海水浴客で埋め尽くされる。遠浅の海で水質が優れ、砂浜は浸食が進むが、海水浴客が楽しむには十分である。義経と弁慶が、東北平泉への逃亡行の途中で雨宿りしたと伝えられる洞窟がある。
8月中旬を過ぎると、土用波が押し寄せ、海水浴客はいなくなる。浜茶屋は、撤去される。砂浜には人の姿はなかった。1週間前までは元気な声が飛び交ったのとは対照的だ。
この海岸で1978年8月15日夕方5時ごろ北朝鮮による男女2人の拉致未遂とみられる事件が、発生した。そんな事件が起きても不思議でない環境である。
暗黒の日本海の底から湧き出るような波が、荒々しく打ち寄せていた。太陽が落ち始めた空は、暗くなり始めた。賑(にぎ)わったころとの落差は、大きい。
日本各地に廃城跡が残されている。堀や石垣がある。何もない広場だけで、「〇〇城跡」という案内版だけのものも多い。それでも武将が権勢を誇った時代を想像すると、時空を超えて当時のざわめきが想像できる。
芭蕉の「夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡」も同じような気持ちを詠んだのだろう。
ヨーロッパにも各地に廃城がある。イギリスで暮らしていたとき、いくつかの廃城を訪ねた。日本と違い、城壁の一部が崩れたままで残っていることもある。
スコットランドのネス湖は、ネッシーで知られるが、そこにも13世紀創設の廃城がある。崩れた城壁が残り、廃城と透明度の低いネス湖が、ネッシーの舞台としてふさわしい。
栄華を誇った地を訪れると、平家物語が語る「盛者(じょうしゃ)必衰の理(ことわり)」を実感する。「人生もそんなもんだ」と達観し、なにかほっとするのは私だけだろうか。(8月31日執筆)
1946年富山県高岡市生まれ。69年東京大学法学部卒業、厚生省に入る。自治省、総務庁、在英日本大使館、厚生省社会・援護局長などを経て2003年環境事務次官に就任。08年5月から済生会理事長。現在、日本障害者リハビリテーション協会会長、富山国際大学客員教授なども務めている。著書に「環境福祉学の理論と実践」(編著)「社会福祉の原理と課題」など多数。