済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
10月22日から5日間、リハビリテーション世界会議に出席するためエディンバラに滞在した。
会議の参加者は1,400人で、盛況だった。今回から会長に中国人が就き、中国からの参加者は300人という大人数だった。ちなみに日本からの参加者は、私を含めて5人程度だった。会場内の展示も中国からの出展が多数を占めた。中国の存在感に圧倒された。
会議では、途上国を含め、世界各国から一様にソーシャルインクルージョン(社会的包摂)政策の必要性が主張されたのは、最大の収穫だった。本欄でもソーシャルインクルージョンの必要性を述べてきたが、日本では一向に理解されない。この差は、なぜだろうか。
35年前、家族でスコットランドを自動車で旅行した。宿泊先は予約をせず、日暮れ近くになると、安宿を探して泊まるという気ままな楽しい旅だった。スコットランドの自然や歴史を体に吸収し、感動した所ではゆっくりと家族で時間の過ぎ行くのに任せた。
エディンバラは、その一つだった。エディンバラ城を中心に古い店舗、大学、銀行などが立ち並ぶ落ち着いた都市だった。アダム・スミス、哲学者ヒューム、作家のスティーブンソン、コナン・ドイルなどを生んだことが、「なるほど」とうなずけた。当時は観光客は少なく、住民の日常の暮らしが近くで見られた。
パブの2階に構える古い宿に泊まった。11時ごろまで階下がざわついていたが、スコットランド人の暮らしぶりが感じられ、悪いとは思わなかった。
ヨーロッパの他の都市と同様に、エディンバラは、オールドタウンとニュータウンに分かれる。しかし、ニュータウンと言っても第2次大戦後ではなく、18世紀に建設されたのだから、さすが歴史都市エディンバラだ。
今回の再訪は、渡航前から大変楽しみだった。35年前の思い出のかけらをどこかで発見できるのではと……。
しかし、エディンバラは、全く違った姿になっていた。市内は、観光客で埋め尽くされていた。日本の観光地にあるような土産物店が軒を並べていた。日々の暮らしを営む住民は、見つからない。中世から近世にかけての姿がカプセルのように残っていたあの古都の雰囲気は、どこに行ったのか。
1995年に世界遺産に登録され、観光政策に力が入れられた。その結果、地域経済には大きな効果はあった。しかし、その変貌に寂しさを感じるのは、私のセンチメンタルジャーニーゆえだろうか。
1946年富山県高岡市生まれ。69年東京大学法学部卒業、厚生省に入る。自治省、総務庁、在英日本大使館、厚生省社会・援護局長などを経て2003年環境事務次官に就任。08年5月から済生会理事長。現在、日本障害者リハビリテーション協会会長、富山国際大学客員教授なども務めている。著書に「環境福祉学の理論と実践」(編著)「社会福祉の原理と課題」など多数。