社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)
済生春秋 saiseishunju

2019.10.08 第80回 忍び寄るストレス

 9月下旬、5泊6日でオランダに出張した。その旅先で体調に異変を感じた。
 8月末から仕事がいっぱい詰まっていた。国内出張が週に2回はあった。
 そのうえ、海外に出る前に依頼されていた数本の原稿を書き終えなければならなかった。いずれも定期刊行物の原稿だったから、締め切りを厳守しなければと追いつめられた。
 大半の人は、パソコン持参で出張して仕事をする。私は、原稿を執筆するときに大量の資料や本が必要だから、旅先では書けない。
 旅行中の電車やホテルでは参考になる本などを読む。これは結構楽しい時間の過ごし方である。
 このようにしてオランダ出張前にすべての仕事を処理し、爽やかな気分で成田を飛び立ったはずである。

 実は、出発前から「ちょっと調子がおかしいな」とは思った。
 出発3日前、鹿児島市で開催された済生会病院長会に出席した。冷房が低すぎるのではと思ったが、他の人はそう感じていない。右わき腹に時々ピリッとした痛みが生じる。肋間神経痛のようだ。
 オランダでの仕事は、順調だった。時々右わき腹が痛んだが、支障はなかった。でも滞在の終盤、入浴後、胸に赤い発疹が並んでいるのに驚いた。典型的な帯状疱疹だ。
 帰宅後、すぐに近所の診療所に駆け込んだ。

 帯状疱疹の大きな原因は、ストレスや過労である。それほどストレスが、大きいとは感じていなかった。抱えているストレス量を自分で判断することは難しい。
 以前は過労のときには口内炎になった。私にとって貴重なシグナルだった。
 現在は飛行機が離着陸するとき、気圧の変化で起きる耳の異常だ。体調の悪いときは耳の異常が、長時間続く。そういえば鹿児島空港から羽田空港に着陸したときもそうだった。

 ストレスや過労は、いつの間にか忍び込んでくる。気が付くのは、病気になってからだ。
 ストレスに強く、疲れにくい体を作りたいと考えるが、実現しない。せめて過労になったときのシグナルをつかみ、病気になる前に十分休養を取りたいものだ。

炭谷 茂

すみたに・しげる

1946年富山県高岡市生まれ。69年東京大学法学部卒業、厚生省に入る。自治省、総務庁、在英日本大使館、厚生省社会・援護局長などを経て2003年環境事務次官に就任。08年5月から済生会理事長。現在、日本障害者リハビリテーション協会会長、富山国際大学客員教授なども務めている。著書に「環境福祉学の理論と実践」(編著)「社会福祉の原理と課題」など多数。