済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
最近は読書の秋という雰囲気を感じない。そもそも日本人の読書時間が大幅に減ってしまった。10月下旬に発表された文化庁の調査では月に1冊も本を読まない人が、半数である。
大学生でもさえ同様だ。大学の勉強は、インターネットに全面的に依存する。確かに便利だが、ネットだけで本当の学問は身につくだろうか。
怪しげな情報が混じっているだけでない。ネットの情報だけで済ませると、体系的な知識が絶対に修得できない。クイズ王になれても、真理の探究、新しい事象の解決などの応用力の修得には程遠い。
以前、著名な経済評論家が「もはや本は不要。ネットで勉強を」と囃(はや)していたが、私は、「これでは日本の学問は、衰退する」と憤慨した。
電子書籍が広く普及している。上記の文化庁の調査では、4分の1の人が利用する。これは個人の趣向の問題だろうが、私は、電子書籍が好きになれない。海外旅行では電子辞書を持っていくが、ほかは利用しない。
理由は、いくつかある。
視力が悪いので、画面から発せられるブルーライトが、目をひどく疲労させる。パソコン利用のときにブルーライトをカットするメガネを使用するが、すべては防ぎきれない。
本を読む際、重要な箇所を赤鉛筆で線を引く癖が、小さい頃からあった。それをしないと、読んだ気にならない。線を引くと、頭に入ったような気になる。本当は違うが……。
一冊の本を読み終わったとき、手で本の重さを感じながら、充実感に浸る。本箱に並べると、これからの人生の伴侶になって自分を励ましてくれる。
だから私は、本については、頑固な守旧派で貫き通す。
最近は、秋が短くなった。暑い季節が長い。次々に強大な台風が襲い、読書の秋にふさわしい静寂な時間が乏しい。
私の高校生時代の秋は、庭から虫の声が聞こえてきた。丸い電球のスタンドの下でロマン・ロランの「ジャン・クリストフ」、スタンダールの「赤と黒」、クローニンの「城砦」など名作を静かに読んでいた。これが現在でも私に大きな影響を与えている。
読書の秋は、時代が変わっても、若い世代にとって人生の基礎作りのために大切だと思う。
1946年富山県高岡市生まれ。69年東京大学法学部卒業、厚生省に入る。自治省、総務庁、在英日本大使館、厚生省社会・援護局長などを経て2003年環境事務次官に就任。08年5月から済生会理事長。現在、日本障害者リハビリテーション協会会長、富山国際大学客員教授なども務めている。著書に「環境福祉学の理論と実践」(編著)「社会福祉の原理と課題」など多数。