済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
「一本でお願い」と寄付を頼まれると、はたと戸惑う。その場の雰囲気で金額を察せられることが多いが、確信が持てないことがある。
ネットで「一本とはいくらですか」という質問が寄せられているが、私と同じような疑問を持つ人がいるらしい。水商売の世界では、一本とは100万円を指すとの回答もあったから、うっかりと引き受けるとまずいことになる。その他1万円だとか、中には1千万円というのもあった。
こんな時に頼りになるのは、「日本国語大辞典」(小学館)である。江戸時代は、一本とは一文銭あるいは四文銭をつないだ銭差し一本の意味で、百文または四百文である。さらに転じて百両を指すことになる。一両は、コメの値段で計算すると四万円だから、百両は、四百万円と高額になる。さらに明治以降は、百円、千円、一万円などを指す隠語となったという。
このように特定の金額ではなさそうだ。現実的にはその場の環境や条件で決まるのが、模範解答だろうが、当事者の金銭感覚が大きな影響を受けるのではないだろうか。
冠婚葬祭で包む金額も難しい。親しい人でないと、教えてもらうのを躊躇(ちゅうちょ)する。しかし、長年の経験でおおよその見当は、つくようになる。最近は、ネットで検索すると、情報を得ることができるが、地域差や相手との関係などでかなり差があるので、全面的には頼れない。首を傾げる情報も結構混じっている。
最近、お寺へのお礼の額で悩む場面が時々起きた。値段があってないような世界だ。相場の見当がつかない。経験者がいない場合は、家族や親族で相談するしかない。これも自分の金銭感覚が基本になる。
貧困の家庭で育ち、お金に縁がなく過ごしてきたので、おのずと質素な生活に慣れている。この方が私にとってむしろ快適だった。鉛筆は、短くなってもキャップをつけて限界まで使うことが習慣だった。今日でいう3Rの実践者である。これが金銭感覚にも影響している。
バブル時代の日本人の行動は、異常だった。いつも顔が上気し、頭の中にマネーしかない人が周りにたくさんいて、嫌な雰囲気だった。高額の商品の方がよく売れた。タクシーは、近距離だと露骨に嫌味を言われた。
新型コロナの発生前にもバブル時代を想起させる人物が、目立つようになった。新型コロナウイルスは、人間の飽くなき欲望による無秩序な開発によって出現した。人間の欲望の制御について冷静に考えるべき時代ではないだろうか。
1946年富山県高岡市生まれ。69年東京大学法学部卒業、厚生省に入る。自治省、総務庁、在英日本大使館、厚生省社会・援護局長などを経て2003年環境事務次官に就任。08年5月から済生会理事長。現在、日本障害者リハビリテーション協会会長、富山国際大学客員教授なども務めている。著書に「環境福祉学の理論と実践」(編著)「社会福祉の原理と課題」など多数。