済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
「みんなちがって みんないい」
ダイバーシティの大切さが明確に伝わってくる素晴らしい言葉だ。
金子みすゞの詩にあるこの言葉に出合ったのは、平成9年に山口県で開催された第6回全国ボランティアフェスティバルであった。大会のテーマとして「つたえたい ボランティアのハート みんなちがって みんないい」だった。大会の趣旨にぴったりだと感心した。
それを機会に金子みすゞの作品を読むと、すべての詩が、心にしみ通ってくる。大正から昭和にかけて27年という短く、幸せ薄き人生が投影されている作品ばかりだ。
最近の元総理の発言によって日本のダイバーシティの著しい遅れが、世界から注目された。東京オリンピック・パラリンピック大会の理念が「ダイバーシティとインクルージョン」だからなお一層、大会組織委員会のトップの人の発言は、いかがと思う。
しかし100年ほど前に日本の一人の若い女性が、琴線に響く言葉でダイバーシティの尊さを訴えている。
日本ではダイバーシティ尊重は、まだまだこれからの課題だ。高齢者が「外国語で分からん」と言うだけでは済まされない。
自治体が主催するある会議で有名大学の教授が、「最近言われるダイバーシティやインクルージョンは何か分からない」と発言されたのには、あ然とした。元総理よりもかなり若く、学生に人文科学系の学問を教え、英語に熟達した人でもこの状況だ。
ダイバーシティの理解は、小さいころからの体験が重要だ。外国生活をすると、家族で最も早く現地の人になじむのは、子どもである。学校に通学すると、肌の色は関係なく、子どもたちの世界に飛び込んでいく。現地の子どもたちにも抵抗感がない。
本欄で昨年6月に「絵本が紡ぐ夢」で新進絵本作家の「しおたにまみこ」さんの絵本を紹介した。先ごろ第3作目の「たまごのはなし」という絵本をブロンズ新社から出版された。
アーモンド、カシューナッツ、ピーナツなどのナッツが、相手の姿をけなし合って喧嘩(けんか)しているのを聞いたたまごは、「みんな同じだったらけんかしないのかな。それではナッツすべてミキサーに入れて砕けば、みんな同じになる」と提案する。
絵本では正解を示さない。これでいいのかと読者の子どもたちに考えさせる。
子どもたちがダイバーシティを考えるには絶好の教材になる。絵も黒鉛筆画で絵本の常識を破る。この絵本の存在自体がダイバーシティと言えそうだ。
1946年富山県高岡市生まれ。69年東京大学法学部卒業、厚生省に入る。自治省、総務庁、在英日本大使館、厚生省社会・援護局長などを経て2003年環境事務次官に就任。08年5月から済生会理事長。現在、日本障害者リハビリテーション協会会長、富山国際大学客員教授なども務めている。著書に「環境福祉学の理論と実践」(編著)「社会福祉の原理と課題」など多数。