済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
濡れた手で取らないなど、消毒の手順や使用量、接触時間(下記の動画を参照)も大事ですが、アルコール濃度も重要です。70%以上95%以下が有効とされており、除菌シートなどを買うときも表示を確認しましょう。また、アルコールは成分の違いによって各種あり、一般的に手指消毒に使うのはエタノールです。よく耳にするメタノールは、燃料用アルコールで引火性が高く危険なだけでなく※、中毒性があり、吸入すると吐き気やめまい、意識障害などを起こす可能性があります。消毒には絶対に使用しないでください。
ちなみに厚生労働省のホームページによると、丁寧な手洗いを行なった場合、残存ウイルスを1万分の1程度に減らせるので、手洗い後のアルコール消毒は不要です。アルコール過敏の人も手洗いでOKです。また手指消毒の後、汚染されているドアノブやスイッチ等を触った場合は、消毒の意味がなくなりますのでご注意を。
いずれもモノの消毒には効果があります。容器や食器、テーブルなどの消毒には、80℃以上の熱水に10分間さらす、または、市販の塩素系漂白剤に配合されている主成分「次亜塩素酸ナトリウム」がおすすめです。新型コロナウイルス含め、ほとんどのウイルスや細菌は、熱や次亜塩素酸の酸によって死滅します。
アルコールの場合は、ウイルス表面の脂質の膜を壊すことでウイルスを死滅、不活性化します。このため、膜を持つ新型コロナウイルスには効果がありますが、膜を持たないノロウイルス、ロタウイルスなどには効果が期待できません。
なお塩素系漂白剤を使用する場合は、次亜塩素酸ナトリウム濃度が0.05%になるように薄めて拭きます。容器洗浄の場合は、0.02%に希釈して30分ほど浸けておきましょう。市販のハイター、ブリーチなどは4~6%の濃度で、キャップ1杯に25mL入ります。水3Lにキャップ1/4(10mL)入れれば0.02%濃度となります。あるいはペットボトルのふたを利用しましょう。ペットボトルのふたは5mL入るので、2杯入れれば0.02%濃度になります。
<塩素系漂白剤使用時の注意点>
- 使用時にはゴム手袋などを着用し、原液が直接肌に付かないようにする
- 他の薬剤と混ぜない(特に強酸性のものと混ぜると塩素ガスが発生して危険)
- 十分な換気を行なう
- もともと濃度が低下しやすい性質があるため強アルカリ性に調整して安定させてはいるが、購入から3年以内のものを使用する(開封してから年月が経過している、または高温、直射日光の当たる場所などの条件で保管していると、有効塩素が分解され濃度が落ちる
- 使用時に必要量だけ作り、作り置きしない
- 対象の材質によってはサビたり変色する場合があるので、使用上の注意をよく読む
塩素系漂白剤の主成分、次亜塩素酸ナトリムは「強アルカリ性」です。原液を大幅に薄めた液でも手がヌルヌルするのは皮膚が溶けているから。人体への刺激が強いため手指消毒には使えません。
一方、同じ次亜塩素酸を主成分とする「次亜塩素酸水」もありますが、これは「次亜塩素酸ナトリウム」とは異なります。次亜塩素酸水は「酸性」の水溶液で、短時間で殺菌効果を発揮しますが、濃度も薄く安定性がないため、長期保存に不向きです。保存条件によって有効成分が失効しやすく、規格や基準もないため成分があいまいなものも多いのが実情です。またモノに対する殺菌効果(有効塩素濃度が80ppm以上のものを使用)はありますが、手指消毒の効果については現在のところ、まだ未評価の状態です※。
※参考資料
https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200626013/20200626013-5.pdf
アルコールは引火の危険性があるため、空間噴霧はNGです。また次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸水など、消毒・除菌をうたう商品は粘膜への付着・吸入等、健康被害を及ぼす恐れがあるため、現在国でも世界保健機関(WHO)でも推奨していません。
新型コロナに関してうがいが有効という科学的根拠はなく、基本は手洗い等による手指消毒の徹底でOKです。また「うがい薬」の使用によって、新型コロナ感染を予防できるという根拠もありません。口の中を清潔に保つという意味では効果はあります。
特に最近話題のヨウ素系うがい薬(ポビドンヨードうがい薬)に関してですが、甲状腺機能異常でヨードの摂取量を制限されている人、妊婦・授乳婦などは使用を避け、まずは主治医に相談しましょう。
イラスト: nishiya_hisa / PIXTA(ピクスタ)
1992年 済生会滋賀県病院附属看護専門学校卒業(現滋賀県済生会看護専門学校)
2002年 済生会守山市民病院 入職
2020年 済生会滋賀県病院 出向、総合相談室看護課長 着任
感染管理認定看護師、特定看護師(感染症管理モデル)
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。