済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
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一般的にウイルスは絶えず「変異」し続けるものです。変異とは、ウイルスが遺伝子のコピーミスにより一定の確率で変化することです。変異したウイルスは従来より感染力が高くなったり、ワクチンの効果を弱めたりするのではないかなどと懸念されています。2021年3月16日現在、変異株はイギリス、南アフリカ、ブラジル、フィリピンで見つかっており、日本での感染が一番多いのがイギリス型の変異株(VOC202012/01)。感染が報告されている399件のうち、374例がイギリス型です。
新型コロナウイルスの遺伝子は約1カ月で2カ所程度が変異するとされており、これはインフルエンザウイルスの変異よりもかなり遅いスピードです。イギリス変異株では遺伝子上の29カ所の変異が見つかっていますが、ウイルスが人体に侵入する際に細胞表面のACE-2受容体と結合する「スパイクタンパク質」の変異が主なものです。中でも重要なのは「N501Y変異」で、この変異によりヒトの細胞とさらに強固に結合できるようになることが分かっています。
イギリス変異株は従来の新型コロナウイルスよりも感染力が最大約70%程度高いという報告があり、致死率や重症度が高まることも示唆されていますが、まだ不明な点が多く、世界中で研究が進められています。
変異した新型コロナウイルスに感染しても、現時点ではワクチンの効力がなくなるわけでないといわれています。日本で医療従事者向けに接種が開始しているファイザー社のワクチンでは、イギリスの変異株(VOC202012/01)の抗体も作ることができたという実験結果が出ています。しかし一方で、ブラジルで発見された変異株(P.1)が持つ「E484K変異」に対しては、効果が1/10程度に低下したという報告もあり、変異によってはワクチンの有効性に影響が出ることが示唆されています。
3月16日時点での変異ウイルス感染者の年代を調べた厚生労働省の調査によると、子どもも含め幅広い年代が感染しており、10代以下が全体の4分の1以上を占めています。そのため、家庭内での感染予防対策もとても重要です。変異株に対しても、個人での感染予防対策は「三密」の回避、マスクの着用、こまめな手洗い・手指の消毒が有効であることは、従来と変わりません。
1984年鹿児島大学医学部卒業、1989年同大学院医学研究科生理系修了(医学博士)。1991年同第2内科入局。2007年鹿児島市立病院消化器科科長、2009年済生会鹿児島病院内科部長を経て、2015年に同院長に就任。専門は渡航医学、感染症一般、消化器内科。日本渡航医学会認定医療職・評議員、日本感染症学会専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医。
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