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済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
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みなさんは普段購入している加工食品にどのような食材や調味料が使用されているかご存知ですか? 以前、コラム『お菓子な話』のなかで、法律で定められている食品の表示ルールについてご紹介しましたが、他にも食品表示の決まりごとはたくさんあります。今回は、その中でも2015年に施行された「食品表示法」にスポットを当てて説明します。ぜひ、これからの買い物の参考にしてみてください。
「食品表示法」とは、食品を安全に選択・摂取できるように表示の義務づけなどを取り決めた法律です。食品表示に関するルールは、これまで「食品衛生法」や「健康増進法」といった複数の法律で定められていましたが、これらを一つにまとめ、2015年4月に「食品表示法」として新しく施行されました。施行に伴い、以前までの法律が見直され、一部が変更・新設されています。
ルールが変更・新設された点はいくつかありますが、今回はその内の①アレルギー表示、②栄養成分表示についてご紹介します。
食品表示法・現行制度からの主な変更点
①アレルギー表示
アレルギー症状を引き起こす原因物質(アレルゲン)が入っていると容易に判断できる食品(マヨネーズ、うどんなど)は、アレルゲンと特定できる原材料(卵、小麦など)を表示しなくてもよい、というルールがありましたが、今回の変更により、全ての特定原材料を表示しないといけなくなりました。
改定前 | 改定後 |
---|---|
マヨネーズ 卵を使用していると判断できるため、 「(卵を含む)」の表示不要 |
マヨネーズ(卵を含む) 卵を使用していると判断できるが、 「(卵を含む)」の表示必須 |
生クリーム 乳を使用していると判断できるため、 「(乳成分を含む)」の表示不要 |
生クリーム(乳成分を含む) 乳を使用していると判断できるが、 「(乳成分を含む)」の表示必須 |
「(卵を含む)」表示が必要な食品・・・・・マヨネーズ、オムレツ、卵黄、卵白など
「(小麦を含む)」表示が必要な食品・・・・パン、うどんなど
「(乳成分を含む)」表示が必要な食品・・・生クリーム、ヨーグルトなど
なお、現在は以下の27品目にアレルゲンとしての義務表示、または推奨表示が定められています。
●義務表示(7品目)
エビ、カニ、小麦、ソバ、卵、乳、落花生
●推奨表示(20品目)
牛肉、豚肉、鶏肉、大豆、サケ、サバ、イカ、アワビ、イクラ、オレンジ、キウイフルーツ
バナナ、桃、リンゴ、山芋、松茸、カシューナッツ、クルミ、ゴマ、ゼラチン
② 栄養成分表示
任意で表示されていた栄養成分表示が、義務表示へと変更になりました。これまでの表示項目は、「エネルギー」「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」「ナトリウム」の5つでしたが、今回の見直しにより、「ナトリウム」は「食塩相当量」で表示されます(これにより、ナトリウムの量を食塩相当量に換算しなくても、食品に含まれる塩分量が分かるようになりました)。また、表示義務のある5項目に加えて、「飽和脂肪酸」「食物繊維」の2項目が新たに推奨表示項目として定められました。
任意でナトリウムを表示する場合
ただし、これらのルールが適用されない場合もあります。外食のメニューやスーパーで販売されているお弁当、お惣菜などに関しては、栄養成分の表示義務は対象外になりますのでご注意ください。
機能性が表示できる食品として、「栄養機能食品」と「特定保健用食品(通称:トクホ)」がありますが、今回のルール変更に伴い、「機能性表示食品」が追加となりました。
お店で販売されている食品の中には、「おなかの調子を整える」「カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素です」といった、健康・栄養に関する言葉が表示されているものが多くあります。こういった言葉は法律に基づいて表記されており、各食品で対象となる成分も異なっているのです。以下に、栄養機能食品と特定保健用食品、機能性表示食品の違いを示します。
栄養機能食品 | 特定保健用食品 | 機能性表示食品 | |
---|---|---|---|
特徴 | ・国が安全性と機能性の審査を行っていない ・国が決めた文言を表示するが、国への届出は必要ない |
・国が安全性と機能性の審査を行っている ・国が決めた文言を表示しており、許可された商品には許可マークが記される |
・国が安全性と機能性の審査を行っていない ・事業者が文言を決定できるが、国への届出は必要 |
表示 | 国が決めた栄養機能表示 例:「カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素です」 |
構造・機能表示、疾病リスク低減表示 例:「おなかの調子を整える」 |
事業者責任で構造・機能表示 例:「目の健康をサポート」 |
解説 | 対象成分について、国が定めた上限値・下限値の規格基準に適合している場合に表示可能となる食品。機能表示と合わせて、注意喚起表示を適切にする必要有 例:「多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進したりするものではありません」など |
食品の有効性や安全性について国の審査を受け、表示について国の許可を受けた食品 | 対象成分を事業者が科学的根拠について評価し、消費者庁に届出を行う。要件が揃えば、事業者の責任で表示可能となる食品 |
対象成分 | ビタミン13種、ミネラル6種、n-3系脂肪酸 | 食物繊維、オリゴ糖、茶カテキン、ビフィズス菌、各種乳酸菌など多種類 | ビタミン・ミネラルや成分特定できないものは除く、定量および定性確認が可能で作用機序が明確なもの |
対象食品 | 加工食品、錠剤カプセル形状食品、生鮮食品 | 加工食品、サプリメント形状の食品はほとんど許可されていない | 生鮮食品、加工食品、サプリメント形状の加工食品 |
よく目にするこの言葉。意味が違うのをご存知ですか? この期限を過ぎると食べられないと思っている人も多いと思いますが、実はそうではないのです。ただし、一度開封した食品は、表示されている期限にかかわらず早めに食べるよう心がけましょう。
消費期限
開封していない状態で、保存方法に従って保存した場合に、食べても安全な期限。
・ポイント → 消費期限内に食べるようにしましょう。
賞味期限
開封していない状態で、保存方法に従って保存した場合に、おいしく食べられる期限。
・ポイント → 賞味期限内に食べるようにしましょう。しかし、期限を過ぎても食べられなくなるとは限りません。
松尾 歩実
滋賀県病院
栄養科 管理栄養士