社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2022.12.28

田中 俊介 さん

田中 俊介 さん

数々の映画、ドラマ、舞台で鮮烈な存在感を放つ田中俊介さん。宮沢賢治と妹トシの心の交流を描く舞台『ケンジトシ』では、兄妹の言動を追いかけながら物語をけん引する役どころで出演。舞台の楽しさと怖さ、「演じる役が増えるほど、人間 […]

数々の映画、ドラマ、舞台で鮮烈な存在感を放つ田中俊介さん。宮沢賢治と妹トシの心の交流を描く舞台『ケンジトシ』では、兄妹の言動を追いかけながら物語をけん引する役どころで出演。舞台の楽しさと怖さ、「演じる役が増えるほど、人間として成長できる」と語る心裏について聞きました。

 30歳を目前に、「役者として一から再スタートする」と決めた。2022年は大河ドラマに初出演。「大河はやっぱり特別。親孝行ができました!」と笑顔で語る。次に控える舞台『ケンジトシ』も気合いの入る作品だ。

「コロナ禍で2年以上延期されていた所属事務所の主催公演です。所属して初めて事務所の舞台に出演するので、この作品を終えてようやく事務所の一員になれる気がしています。それにプロデューサーでもある事務所の社長が毎日、稽古場で見ているので頑張らないと」

 その稽古については、楽しさと怖さがあると言う。
「共演者から刺激を受け、自分一人では気づかない“発見”をする楽しさ、喜びがある一方、自分の表現はこれでいいのか? という悩みや迷いも出てくる。一度悩み始めると、家に帰ってもそのことで頭がいっぱいになってしまうんです。稽古期間中、スイッチがオンになったままのしんどさはあります」

 それでも、作品ごとに自分が一歩ずつ成長していると田中さん。
「与えられた役がたとえ血も涙もない人間だったとしても、僕が拒絶したらその人物は成立しません。だから、何とかわかろうと必死に寄り添ううちに、また新しい発見がある。その経験が増えるほど、自分の人間的な厚みが増すように感じていますし、この座組なら、得られるものが大きいだろうなという期待感があります」

 今回の舞台も役と向き合い、自分を見つめ直す機会になると予感している。

文:みやじまなおみ 写真:安友康博(機関誌「済生」2023年1月)
ヘアメイク:奥山信次(b.sun)
スタイリング:中川原有(CaNN)

シス・カンパニー公演『ケンジトシ』

シス・カンパニー公演『ケンジトシ』

岩手山を望む大地から天空の星々へと、その創作の翼を広げる宮沢賢治(中村倫也)。彼の傍らには聡明で信仰篤き妹トシ(黒木華)の姿があった。トシは、純粋な心を軸にわが道を進む自由奔放な兄の宗教観のよき理解者であり、賢治の精神的な支えだったとも言われている。兄妹の濃密な会話から浮かび上がる生命の交感を描く。

●作:北村想
●演出:栗山民也
●出演:中村倫也、黒木華、山崎一、田中俊介 ほか
【東京公演】2023年2月7日(火)~2月28日(火)シアタートラム
【大阪公演】2023年3月3日(金)~3月10日(金)サンケイホールブリーゼ

田中 俊介 さん


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