済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
3月14日、巨大サイクロン・パムの直撃を受けた南太平洋の島国バヌアツ共和国を覚えているでしょうか。NGO団体HuMA(Humanitarian Medical Assistance、災害人道支援会)は3月21日から4月16日まで現地で支援を行いましたが、私(岡山済生会総合病院救急科医長・稲葉基高)はその第一次本隊隊長としてエファテ島北部の村、パナンギスで医療支援を行ってきました。
一次隊は医師2人、看護師3人、調整員1人で編成。3月27日に現地に入りました。パナンギス村にはもともと医師がおらず、村のヘルスセンターにいる看護師2人で2,000人ほどの医療を担当している状況でした。看護師はかなり疲弊し、「センターの周りにある小さな集落の住民が心配だが、手がなく往診に行けない」と訴えました。このため、私たちは午前中はヘルスセンターで診療、午後からはモバイルクリニックとして近隣の集落へ出かける医療支援を展開。合計528人の診療を行いました。
その中で「陣痛3日目の難産の患者を診てくれ」と頼まれたことがありました。私は妊婦診察の経験がなく、一瞬、断ろうと考えましたが、自分の他には医師はいません。意を決し、ポータブルエコー(V-Scan)で検査したところ、胎児は心拍はしっかりと確認できるものの横位でした。ここでの分娩は難しいと判断し、胎児が元気なうちに搬送がよいだろうと地元の看護師に助言し、紹介状を作成して搬送しました。とかく専門性が問われる日本の医療で育ってきた自分としては、医師としての根本的な部分を問われたような気持ちでした。
日本からの支援者の代表として同国のナツマン首相とお会いする機会もあり、感謝の言葉をいただきました。一次隊の活動は4月2日まででしたが、HuMAの医療支援は第三次本隊に及び、5月8日には東京・八重洲で報告会も開かれる予定です。今回の被災者は16万人ともいわれ、医療支援活動で私たちが診療できたのはごく一部でしょう。バヌアツの被害には多くの方に関心を持ち続けていただきたいと、今も強く感じています。