社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2015.06.15

東京でポルフィリン症専門外来開設へ


今年、新たに難病に指定されたポルフィリン症の専門外来が東京にオープンします。ポルフィリン症は遺伝的な代謝異常疾患で、日光による皮膚障害や激しい 腹痛、高血圧、手足のしびれなどの症状が現れます。患者数は分かっておらず、今年の肝臓学会で「患者は全国に数千人、症状の現れていない潜在患者はその数 倍」との推計が初めて報告されました。診断も難しく、皮膚の過敏症などと誤診されることも多いといわれています。

専門医も全国に10人程度しかおらず、「東京にクリニックを」という患者さん団体「友の会」からの要望を受け、専門医である島根県済生会江津総合病院の堀江裕・名誉院長が月1回、東京に出向いて診療に当たることになりました。

診療は6月26日を皮切りに、毎月第4金曜日の午前11時から午後6時まで東京都港区芝浦1-1-1の浜松町ビルディング「PLAZA111(スリーワンプラザ)」にある「芝浦スリーワンクリニック」で行われます。受診は予約制。同クリニック(電話03-6779-8181)で平日の午前9時30分~午後6時に受け付けています。

ポルフィリン症は、酸素を運んだり異物を解毒したりするのに必要なヘム(タンパク質)の合成過程に異常が生じ、中間生成物のポルフィリンが体内に過剰にたまっておこる一連の症候群をいいます。激しい腹痛や手足の麻痺を伴う「急性型」と皮膚にたまったポルフィリンが日光を浴びて毒性を帯び、組織を破壊する 「皮膚型」に大別されます。急性型については症状を抑える特効薬が海外で開発されていますが、病気の根治は難しいのが実情です。今年から難病に指定され、 7月からは治療費が助成されます。

社会的な理解も乏しく、2008年には日光を避けるために黒い頭巾をかぶっていた高校生が警察官に職質され、「タリバン」と呼ばれた事件も発生しています。今年度、院長をリタイアした堀江医師は「退職したら専門外来を開設したいと思っていました。ポルフィリン症の診断をするだけでなく、ポルフィリン症と疑われて来た患者さんでも違う場合は明確に否定してあげるのも、大切な役目です」と話しています。

済生会江津総合病院 済生記者:和原いづみ

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