社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)
2016.03.24

炭素繊維で飛躍的に性能向上、歩行補助器具新世代へ

井上設計士(左)と松山医療・福祉センターの岡田武志センター長井上設計士(左)と松山医療・福祉センターの岡田武志センター長

膝の関節痛に悩む患者さん向けに愛媛県・済生会松山病院が開発製作した高性能の歩行補助器具が4月から提供されます。炭素繊維を用い片足280gという軽量化を実現したほか、シリコンメッシュによるズリ落ち防止機能などが備わっていて、歩くときの膝の痛みの緩和が期待されます。

補助具の開発は、患者さんの治療の一環として治療装具製作を同院の医療福祉機器開発室が進めました。従来の器具はステンレス製で重いうえに、回転部が歯車で歩くたびにガチャガチャと大きい音が出ていました。患者さんからは「重くてかたくて痛い」「500メートルも歩いたらズリ落ちた」「サイボーグみたい」などの苦情が寄せられました。このためステンレスを強化プラスチックにし、歯車をカム構造に変えたことにより膝の動きに合わせて「伸びる・縮む・ひねる」の3次元的な動作が可能となっています。また、皮膚との接触部に地元の今治タオルを使って、着け心地にも配慮。その技術提供を受け、松山市の医療福祉機器開発メーカー「愛トリノ」が発売した補助具が、平成26年には松山商工会議所の新製品コンテストで県知事賞に輝きました。

 その後も改良を重ね、航空機に使う東レの炭素繊維でさらに軽量化を実現。患者さんは運動不足からふくらはぎが細く装着しても落ちてくることが多いため、フィット部に使った今治タオルの上をシリコンメッシュで覆って滑り止めを図りました。
 試作品を実際の患者さんに装着してもらったところ、「痛みが消えて、毎日、散歩ができる」「杖がいらん」「楽に立ち上がれる」などの声が寄せられています。開発・改良に当たった同院の井上誠二機械設計士は「この補助具で農作業ができるようになったというお年寄りや、念願だった香川の金毘羅さんに登ることができた方も実際にいます」と笑顔です。

 膝の関節症患者は全国に800万人にいるといわれ、歩くことで関節症の重症化予防につながります。さらに、運動が必要な糖尿病への効果も期待されています。

この補助器具は、医師の診断により各患者さんに合わせて調整します。問い合わせは「済生会松山病院」(089-951-6111)へ。

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