社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2018.01.25

自殺者数未成年のみ増加 NPO理事に聞く

東京自殺防止センター理事の村さん(写真は昨年取材時のもの)東京自殺防止センター理事の村さん(写真は昨年取材時のもの)

2017年の全国自殺者数(速報値)が発表され、全体の自殺者数は2万1140人(前年比757人減)で8年連続で減少しているものの、10代のみが前年より増加していたことがわかりました。10代の年間自殺者数は、近年500から600人ほどで増減を繰り返しています。原因・動機別の調査では「学校問題」が152人と、「不詳」181人に次いで多いという結果でした。

この発表を受けて、済生会の特設サイト「すべての人が共に生きる -Social Inclusion」に登場していただいた、自殺防止活動を行なう認定NPO法人国際ビフレンダーズ東京自殺防止センター理事の村明子さんにお話を伺いました。

村さんは「日本財団が2016年に約4万人(20~70代)に実施した自殺意識調査で『本気で死にたい』と思ったことがある人の割合は20~39歳がもっとも多いという結果が出ていました。若い世代ほど自殺を考えている人が多いということが、今回の統計からも浮き彫りになっていると思います」とコメント。同センターの電話相談で件数が多いのは30~50代ですが、近年では10代の相談も増えている印象があるそうです。「匿名での相談なので正確な人数はわかりませんが、学生さんや20代の相談が増えていると感じています」

若い世代の電話相談が増えてきた背景には、2016年にはじまったFacebookの自殺対策の効果があるのではないかといいます。Facebookでは2016年から自殺・自傷防止のために利用できるツールを採用。たとえば、友達の心配な投稿を発見したら、その投稿を報告し、サポートするメッセージを送信したりできるというものです。ただ、村さんは「Facebookなどで自殺対策はあるものの、若い世代が相談しやすい窓口はまだまだ少ないのが現状です」といいます。
昨年は神奈川県座間市で起こった死体遺棄事件で、SNSでの自殺投稿が大きな問題として取り上げられました。それを機に、厚生労働省は今年の3月からSNSを活用した相談事業を始める方針を示しています。Twitter社は1月18日に自殺防止策として、自殺に関連するワード検索に対し、検索結果の一番上に東京自殺防止センターなどのNPO法人へ相談を促す内容が表示される取り組みをはじめることを発表しました。

「SNSは若い人たちにとって身近なものなので、これらの取り組みが相談の入口になればと思っています。ただ、SNSは文字数の制限があったり、相談内容を考えて打ち込んでいく必要もあります。電話相談は切羽詰まった深刻な心理状態の人が非常に多く、『話を聞いてもらいたい!』とすがるような気持ちでかけてくる方もいます。今後はSNSで相談の間口を広げ、電話相談もあわせて、多様な相談を展開していくことが必要だと思います」

今後については「2月に若い人たちに向けた体験型ワークショップを予定しています。若い人向けの講演会も積極的に開いていく予定です。当センターはTwitter社と提携しているので、情報も広く発信していきます。一人で悩み苦しんでいる人たちの目に、私たちの活動が少しでも多く触れるよう今後も活動していきます」と語ってくれました。

※特設サイトはこちら
 「すべての人が共に生きる -Social Inclusion」

※参考サイト
 ・Facebook 自殺を防止するため世界中で自殺防止ツールを発表、日本語版も利用可能に
(Facebook 2016/6/29)

 ・Twitter 対策進める 「自殺」検索→防止センター案内(毎日新聞 2018/1/18)
 ・17年も減少(毎日新聞 2018/1/20)

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