社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)
2013.07.23

大震災被災地・岩手県岩泉町の仮設診療所開設1年


東日本大震災で被災した岩泉町小本地区の仮設住宅団地にオープンした仮設診療所が2年目に入りました。大震災からすでに3年以上。復興も徐々に進んでいますが、皆さんがいつ仮設から出られるのか、明確な目途はまだ立っていません。その中で診療所は地区の安心に確かに役立っています。

岩泉町は大半が山間部ですが、小本地区をはじめ沿岸部もあります。3・11大震災の津波により200戸が流失・全半壊。漁船も292隻のうち無事だったのは26隻のみです。関連死も含めると町内外で11人の町民が亡くなっています。

小本地区には医院が一軒ありましたが、震災で閉院。同地区は無医地区となってしまいました。岩手県沿岸部はもともと医師が不足しており、岩泉町唯一の病院である当院も医師不足に悩まされ、昨年からは全国の済生会病院から「地域医療研修」として研修医を派遣してもらってしのいでいます。その中で、小本地区の問題を何とか解決しようと、町と当院、県立宮古病院が協力し、84戸の小本仮設住宅団地内の集会所に昨年6月、町営診療所を開設しました。

月2回午前中、当院から看護師・薬剤師・事務員を派遣します。医師は県立宮古病院の院長と副院長が交代で来られて診察に当たります。7月18日のオープンに同行しました。

当日は宮古病院副院長の菊池利夫先生がご担当で、被災地医療研修の先生も一緒にお見えになりました。毎回15、6人の患者さんが来られますが、この日はどしゃ降りのためか6人だけ。心臓外科がご専門の菊池先生ですが、一人ひとり丁寧に患者さんの話に耳を傾け、笑顔で応対されます。「医療の乏しいアフリカに、人が一番、人の薬になるということわざがありますが、ここに来るとその意味が実感できるなあ」とおっしゃっていました。

患者のおばあさん(78)は、「病院に通うのは大変。こんな雨だとまず行けない。来てもらって本当に助かる」と話されていました。医療資源は少なく貴重ですが、何とか持ち寄って地域の復興につなげていきたいとの思いに満ちた仮設診療所です。

岩泉病院済生記者:柴野 克博

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