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済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
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2024.10.30
猫ひっかき病は、バルトネラ ・ヘンセレ(Bartonella henselae)という菌に感染した猫に引っかかれたりかまれたりした際に、傷口から細菌が侵入することで起こる感染症です。
猫はこの菌に感染すると、長期に渡って血液中に菌を保有しますが、症状が出ることはほとんどありません。しかし人間が感染すると、リンパ節の腫れや発熱などの症状が出ます。猫からだけでなく、時には犬から感染することもあります。
感染後3~10日以内に、傷口に痛みのない赤い隆起ができます。2週間以内に傷の近くにあるリンパ節(手の傷なら脇、足なら足の付け根など)が腫れて痛み、リンパ節から膿がでることもあります。この頃から発熱、体のだるさ、頭痛、食欲不振などの症状がみられます。
多くは発症から6~12週で自然に治癒しますが、抵抗力が低下した人では、重症化することがあります。
前述の特徴的な症状がある場合、猫ひっかき病が疑われます 。
腫れたリンパ節から細菌自体、または細菌の遺伝子の検出、あるいは血液検査(血液中のこの菌に対する抗体を測定)により診断を行ないます。
自然に治ることが多いため、症状が軽い場合は特に治療を行ないません。腫れたリンパ節が痛む場合は、鎮痛剤を使用します。
しかし、しかし、抵抗力が低下している人は重症化することがあり、全身症状が強く出る人もいるため、その場合は抗菌薬(マクロライド系またはテトラサイクリン系)で治療を行ないます。
猫などの動物に引っかかれたりかまれたりした後に、傷口が赤く腫れ、傷口に近いリンパ節が腫れて痛い場合は、猫ひっかき病が疑われます。受診時に、傷口について詳細を医師に伝えてください。診断の助けになり、早期診断につながります。
現在のところ、人、猫に有効なワクチンはありません。
猫から猫への感染は、猫ノミを介して起こると考えられています。そのため、飼い猫がいる場合は猫への感染防止が重要です。飼い猫を外に出ないようしつける、定期的なノミの駆除を行なうといった対策を取りましょう。
加えて、猫を過度に興奮させ、引っかかれたりかまれたりしないように注意しましょう。特に野良猫や子猫は感染リスクが高く、注意が必要です。
解説:德山 猛
中和病院
副院長 内科 地域連携部部長 呼吸器センター副センター長
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