済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約67,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、404施設・435事業を運営し、67,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
40都道府県で、病院や診療所などの医療機関をはじめ、高齢者や障害者の支援、更生保護などにかかわる福祉施設を開設・運営。さらに巡回診療船「済生丸」が瀬戸内海の57島の診療活動に携わっています。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2022.08.31 公開
肥厚性幽門狭窄症は、「幽門(ゆうもん)」と呼ばれる胃の出口の筋肉が厚くなって狭くなり、母乳やミルクなどの内容物が通過しにくくなる病気です。
主に生後2週間から2カ月頃の赤ちゃんに発症します。赤ちゃんの約0.1~0.2%(1000人に1〜2人)にみられ、男児に多く、男女比は4:1です。また、兄弟姉妹(双子を含む)に肥厚性幽門狭窄症があると、発症する可能性が高くなります。
なお、幽門の筋肉が厚くなる原因については、胃の神経細胞の異常などさまざまなことが推測されていますが、正確にはまだ分かっていません。
肥厚性幽門狭窄症があると、胃の内容物が幽門から十二指腸に流れにくくなるため、胃にたまった母乳やミルクを吐くようになります。初めのうちは1日に1、2回吐く程度で、吐き方も口からタラっとこぼれるくらいですが、次第に回数や量が増え、最終的には飲むたびに噴水のように大量に吐くようになります。何も飲まなければ吐くことはほぼありません。
吐いて胃が空っぽになると空腹感があるので、赤ちゃんは吐いた後でもすぐに母乳やミルクを欲しがることが多いです。しかし、飲むたびに吐くため、徐々に脱水症状でぐったりしてしまい、体重も減っていきます。
おなかを丁寧に触診すると、へそのやや右上の部位に、厚くなった幽門の塊に触れることがあります。診断には超音波検査が有効で、厚くなった幽門を確認できると、肥厚性幽門狭窄症であると確定します。超音波検査以外には、X線検査が診断の助けになることもあります。
脱水症状がみられる場合や、血液検査で電解質などの異常があれば、まずはしっかりと点滴をしてその治療をします。
その後、手術(粘膜外幽門筋切開術)により、厚くなった幽門の筋肉を切り開いて狭窄部を広げます。手術後は半日から1日で母乳やミルクを飲めるようになります。手術の傷痕も目立たないことがほとんどです。
手術以外の治療法として、硫酸アトロピンという薬を使って厚くなった幽門の筋肉を緩める内科的治療もあります。しかし、手術に比べて効果は不確実で、母乳やミルクを飲めるようになるまでに時間がかかるため、手術をできるだけ避けたいという希望がある場合などに行ないます。ただし、効果がなければ手術になります。
上記を踏まえ、手術と内科的治療のどちらを選択するかは、担当医とよく相談して決めましょう。
解説:磯浦 喜晴
泉尾病院
小児科 医長
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