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穀雨風光る季節に 和歌山の旬が詰まった春ごはん

新居と地元の味覚にカンパイ

 ついに、念願のマイホームを購入。通勤時間は長くなったが、小さな庭と日当たりのよい縁側が自慢の我が家だ。二階のベランダからは、ポワポワとした新緑で賑わう山々が見える。まさに子規の一句「故郷やどちらを見ても山笑う」だ。山の笑顔につられて、自然とこちらの頬もゆるむ。春風に吹かれて空を泳ぐこいのぼりも、心なしかうれしそうだ。
 荷物も粗方片付いた休日、引っ越し蕎麦を持って、妻と二人近所へ挨拶。最後に周ったお宅で、「今朝、山で採ってきたの。もし、よかったら」とまだ土のついたタケノコを分けてもらう。家に持ち帰り、さっそく教えられた通りにアクを抜く。一時間ほどタケノコを煮て、粗熱がとれるのを待つ間、白米を炊飯器にしかけ、夕食の買出しに出かける。
 夜。食卓には、商店街でサービスしてもらったサワラにアサリ、先刻のタケノコが並ぶ。一口食べると、市販の水煮では楽しめない、タケノコ本来の香りが鼻を抜ける。「おいしい」思わず妻と目を見合わせる。引っ越しの疲れが一気に吹き飛ぶ。うん、明日からもがんばろう。

献立のポイント

今回使用した食材
今回使用した食材

 春の魚と書いて「鰆(サワラ)」と呼ぶその名の通り、サワラは春が旬の魚です。今では一年を通して流通しているため、有田病院では調理法を変えて年中提供しています。なかでも、味噌漬け焼きは人気の高い一品。当院では、サワラを味噌に一晩漬けておく作業が難しいため、漬け込み時間を2~3時間ほどに短縮して提供しています。また、酒蒸しにしたアサリも、この時期が旬の食材です。春キャベツやトマトといった野菜と一緒に調理することで、アサリに含まれている鉄や亜鉛、ビタミン類だけでなく、野菜の栄養分もたっぷりと摂取できます。
 当院の所在する和歌山県は、温暖な気候から、梅、桃、柿、ビワなどさまざまな種類のおいしいフルーツが年中採れます。「有田みかん」の産地としても名高く、冬場になると、ミカンを食べ過ぎて手が黄色くなる人もいるくらいです。今回のデザートに使用したビワは、4月末~6月が食べごろ。たくさん採れたときにはジャムにして保存し、冬季に楽しむことも可能です。

タケノコ

タケノコ

 和歌山のタケノコは4月が旬で、色の白さと軟らかさが特徴です。特有のえぐみは収穫直後より急増するため、加熱してアク抜きをする必要があります。下処理済みの缶詰や水煮の普及で、一年を通して手軽に味わえる食材ですが、堀りたてが手に入るこの時期は、一手間かけてアク抜きをしていただきましょう。旬ならではの香りと味が楽しめるだけでなく、フキやワカメと炊き合わせることで、食物繊維がたくさん摂れます。

レシピ作成
有田病院
栄養科主任
永井 智子

1食の栄養価 (1人分)

エネルギー 669 kcal
たんぱく質 33.6 g
脂質 13.7 g
カルシウム 230 ㎎
7.1 ㎎
ビタミンA 188 μgRE
ビタミンB1 0.29 ㎎
ビタミンB2 0.72 ㎎
ビタミンC 104 ㎎
食塩相当量 5.5 g
食物繊維相当量 8.5 g
ご飯の量は150gです

エネルギーを500kcal以下にする場合

サワラを省いて、
アサリの酒蒸しをボリュームアップ

エネルギー量の高いサワラの味噌漬け焼きを省き、代わりに、アサリと春キャベツの酒蒸しの量を増やします。このとき、アサリの量は1人あたり125gから200gに増やしましょう。サワラに添えた菜の花は省かずに、1人あたり50gから80gに増やして1品の副菜にします。そして、白米ご飯の量を1人あたり150gから100gにすることで、合計200kcal減らすことができます。

塩分を2g以下にする場合

サワラの味付けを二杯酢に変更し、
アサリの代用に豚肉を使用

サワラの味噌漬け焼きに使用する合わせ味噌を、二杯酢(酢:醤油=1:1)に変えます。アサリには塩分が多く含まれているため、アサリと春キャベツの酒蒸しに使用するアサリを豚肉に変更します。こうすることで、塩分を計3.5g減らすことができます。