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立冬セイコガニと福井の昔ながらの味わい

ふるさとの味を気に入ってくれるかな?

今年は娘が7歳の七五三を迎える。初孫だとやはりかわいいのか、福井からおじいちゃんとおばあちゃんが上京してきた。無事神社へのお参りもすむと、「今日の夕飯は私が作るから」とおばあちゃんが腕を振るってくれている。食材も地元からわざわざ持ってきているようだ。久しぶりのセイコガニやへしこを見ながら、「セイコガニって給食でよく食べたなあ」とつぶやいていると、「あんたも忙しくてなかなか帰って来られないからふるさとの味を食べさせてあげるのも兼ねてさ。おじいちゃんは最近血圧が高めだからへしこは少なめに、って済生会病院で言われたんだけどね」と言いながら手際よくどんどん作って食卓に並べていく。カニを丸ごと1匹食べたことがない娘は、珍しそうにつついている。「どうやって食べるの?」と聞く娘に、おばあちゃんは目を細めて説明を始めた。私のふるさとの味を気に入ってくれるだろうか。

献立のポイント

今回使用した食材
今回使用した食材

 「へしこ」とはサバの糠漬けのことで、若狭地方の伝統料理です。江戸時代から保存食として広まり、お茶漬けや刺身、お酒のつまみなどで親しまれてきました。サバのほかに、イワシ、イカなどを糠漬けにすることもあります。「打ち豆」は、水につけて柔らかくした大豆を、叩いてつぶした後に乾燥させたもの。みそ汁や酢の物に最適です。通常の大豆と比べて水で戻す時間と加熱時間が短くなるため、調理の手間が省けます。
 水ようかんは夏のお菓子という印象がありますが、福井では冬が主流。由来は諸説ありますが、故郷を離れて働きに出ていた子どもが、正月里帰りした際に奉公先へ福井のお土産として持って行った、冬の寒い気候が保存に適していたなどと言われています。自宅で作る際は、あんと砂糖が二層に分離しないよう、型に流し込む前によく混ぜるのがポイントです。

セイコガニ

セイコガニ

 「越前海岸で獲れる雄のズワイガニを「越前ガニ」、雌を「セイコガニ」と言います。雄より小さく、外子(そとこ/受精卵)と内子(うちこ/卵巣)を両方味わえるのが特徴です。11月上旬に解禁日を迎え、福井では小中学校の給食で登場し、むき方の指導が行われることもあります。茹でる際、越前ガニは冷水で冷やしますが、セイコガニは冷水をかけず、粗熱を取って甘みを閉じ込めます。


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レシピ作成
福井県済生会病院
栄養部 管理栄養士
長谷川 亜季(右)
北野 殊代(左)

1食の栄養価 (1人分)

エネルギー 678 kcal
たんぱく質 29.3 g
脂質 20.6 g
カルシウム 157 ㎎
2.7 ㎎
ビタミンA 119 μgRE
ビタミンB1 0.61 ㎎
ビタミンB2 0.53 ㎎
ビタミンC 21 ㎎
食塩相当量 2.3 g
食物繊維相当量 6.3 g
ご飯の量は150gです

エネルギーを500kcal以下にする場合

ふくいポークはヒレ肉を使用し、
デザートは抹茶寒天に変更

ふくいポークのローストはロース肉ではなくヒレ肉にし、テフロン加工のフライパンで油を使わずに焼きます。打ち豆汁の里芋はコンニャク、水ようかんは人工甘味料を用いた抹茶寒天(詳しい作り方はこちら)に変更しましょう。エネルギーを抑えても、サラダやみそ汁にカロリーが低いキノコや海藻類を加えると、低エネルギーのままボリュームが出るので満足感を得られます。

塩分を2g以下にする場合

へしこをツナや鶏のササミに変更

へしこは塩を使用して保存性を高めているため、塩分量が多いので、ツナや鶏のササミ、生魚などに変更します。打ち豆汁は汁の量を8割に減らしましょう。