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冬至寒さ吹き飛ぶ 香川のあったかしっぽくうどん

受験勉強にしみる両親の励まし

 センター試験まで一カ月弱。凍てつく寒さに震えながら、予備校から帰宅。「ただいま」玄関を開けると、「お風呂沸いてるわよ」と台所から母の声。
 服を脱いで、黄色いユズがプカプカと浮かぶ湯船にザブンとつかる。冷えた身体が、ジワリジワリと温まっていく。
 就職か進学で悩んでいた夏、「自由な時間が人生にあってもいい」という父の助言もあり、大学進学に心を決めたはいいが、肝心の成績が思うように上がらない。今日の模試の結果も散々だった。
 風呂から上がり食卓に着くと、しっぽくうどんにオリーブハマチと好物の料理ばかりが出てくる。最近血圧が高めの父は、母から「お父さんは、おうどんのおだし全部飲まないでね」と警告を受けている。
 息子の浮かない表情に気づいたのか、突然父が、「まぁ、あれだ。試験の結果より、ベストを尽くしたっていう経験が大切なんだからな」と言ってガハハと笑う。
 おいしい料理とやさしい言葉が胸にしみる。

献立のポイント

今回使用した食材
今回使用した食材

 冷え込みが厳しい冬至の時期にうってつけの、香川県(讃岐)の郷土料理をそろえました。しっぽくうどんは、数種類の野菜をだし汁とともに煮込み、それをゆでたうどんの上からかけていただく料理で、食べると身体の芯からポカポカと温まります。今回使った具材以外にも、ゴボウやシメジ、ネギといったお好みの野菜を入れて、家庭ごとの味をお楽しみください。大晦日の年越しには、しっぽくそばとしっぽくうどんを食べるのが讃岐流。
 オリーブハマチは、香川県特産・オリーブの葉の粉末を混ぜたエサを20日間以上与えられた養殖ハマチで、魚臭さが少なく、さっぱりとした味わいが特徴です。副菜の「まんばのけんちゃん」は東讃(とうさん/香川の東部地域)の呼び方。同じ料理でも西部地域の西讃(せいさん)では「ひゃっかの雪花煮 (せっかに)」と呼び名が変わります。「けんちゃん」というと人の名前のようですが、野菜の油炒めに豆腐を入れた料理「けんちん」がなまったものといわれています。食後のデザートには、抹茶ゼリーの和三盆添えを用意。ほろ苦い抹茶ゼリーに、上品な甘さの和三盆がよく合います。

まんば(ひゃっか)

まんば(ひゃっか)

 香川県の冬を代表する葉物野菜。高菜の一種で、その紫がかった大きな葉は、寒くなるほど柔らかくなって甘味が増します。県内全域で栽培されていますが、地域によって呼び名が異なり、東讃では「まんば」、西讃では「ひゃっか」と呼ばれます。栄養価が高く、有色野菜が少なくなる冬の食卓には重宝される食材。独特のアクがあるため、調理前にしっかりと抜いておくことがおいしく食べるポイントです。

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レシピ作成
香川県済生会病院
栄養科 栄養士
奥田 英津子

1食の栄養価 (1人分)

エネルギー 636 kcal
たんぱく質 31.1 g
脂質 25.1 g
カルシウム 210 ㎎
3.9 ㎎
ビタミンA 547 μgRE
ビタミンB1 0.29 ㎎
ビタミンB2 0.35 ㎎
ビタミンC 56 ㎎
食塩相当量 4.6 g
食物繊維相当量 6.5 g

エネルギーを500kcal以下にする場合

うどんの量を減らし、
代わりに野菜をたっぷり使用

しっぽくうどんに入れる鶏モモ肉を鶏ムネ肉に変え、里芋はネギやキノコといった低カロリーの野菜に変更します。さらに、うどんの量を1人あたり200gから100gに減らしてカロリーダウン。その代わり、コンニャクを入れてボリュームを持たせ、腹持ちをよくします。お刺身の量も一切れ分(12g)減らし、一人あたり60gから48gにしましょう。

塩分を2g以下にする場合

薄口醤油をだし割り醤油に変更し、
刺身醤油とうどんのだし汁は控え目に

しっぽくうどんとまんばのけんちゃんに使用する薄口醤油を、だし割り醤油に変更。さらに、刺身醤油はハマチの刺身につけ過ぎないように注意し、うどんのだし汁は全て飲まずに、なるべく残すようにしましょう。