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芒種新潟の幸が盛りだくさん 木の香り高いわっぱ飯

結婚記念日のおくりもの

梅雨に入り、庭を彩るアジサイの上をカエルがうれしそうに跳ねている。その様子を眺めながら、鼻歌まじりで洗濯物を畳む私を見て、「ママ、雨なのに機嫌がいいね」と息子。
鼻歌の理由は、今朝夫から「はい、これ。今日で結婚10周年だからね」と手渡された小さな箱。中には、私が以前「欲しい」とつぶやいたネックレスが入っていた。
 結婚当初は、毎年お祝いをしていたが、息子が生まれてからは、子ども中心の毎日で、二人の記念日なんてすっかり忘れていた。
 「夕食はごちそうだよ!」
 花嫁道具に持ってきたわっぱを戸棚から取り出し、張り切る私を息子が不思議そうな顔で見つめている。
「最近のパパ、メタボ気味だから、カロリー控えめにしよう。済生会のホームページでぴったりのレシピを見つけたのよ」とひとりごとを言いつつ、自然と笑みがこぼれる。パパ、これからもよろしくお願いします。

献立のポイント

今回使用した食材
今回使用した食材

 歳取りの魚は、東日本は鮭、西日本は鰤(ブリ)といわれていますが、なかでも新潟は鮭の消費量が多く、新潟市民にとって身近な魚の一つです。その鮭を使ったわっぱ飯は、新潟の老舗料理店が考案した料理で、「わっぱ」と呼ばれる薄い杉の板を曲げて作った弁当箱にご飯を盛り、鮭をのせて蒸した料理です。今回は、青シソと生姜をご飯に混ぜ、新潟産の枝豆を散らして、初夏にさっぱりいただけるレシピにアレンジしました。
 南蛮エビ入り里芋のコロコロ団子は、国立循環器病研究センター主催の減塩食コンテスト『ご当地かるしおレシピプロジェクト2014 S-1g(エス・ワン・グランプリ)大会』で優秀賞を受賞したレシピです。ポイントは、新潟産の里芋(帛乙女/きぬおとめ)、南蛮エビ、やわ肌ねぎを使用し、なおかつ塩分が1人分0.4gと少量にもかかわらず薄味に感じない点です。本来、帛乙女の旬は秋ですが、夏野菜のアスパラガスとナスの素揚げを添えて、初夏の食卓にも合うレシピにしました。さらに、里芋のコロコロ団子で余った南蛮エビの頭をみそ汁の具材に使います。南蛮エビのうま味がたっぷりあるため、みその量は通常より少なくてもおいしくいただけます。また、デザートには、新潟名産の藤五郎梅と日本酒を合わせた日本酒ベースの梅酒を使い、大人向けの梅酒ゼリーに仕上げました。

南蛮エビ(甘エビ)

南蛮エビ(甘エビ)

 南蛮エビは、一般的には甘エビと呼ばれていますが、色や形が赤唐辛子(南蛮)に似ていることから、新潟ではこの呼び名が使われています。刺身やお寿司など生はもちろん、揚げ物や蒸し物などさまざまな調理法でおいしく食べられるうえ、余った頭はみそ汁のだしに使えるなど、捨てるところのない食材です。


レシピ作成
新潟第二病院
栄養科 
管理栄養士 係長
治田麻理子(前列・右)
管理栄養士 津野菜津美(後列・左)
調理師 磯貝明子(前列・左)
調理師 伊藤友紀(後列・右)

1食の栄養価 (1人分)

エネルギー 693 kcal
たんぱく質 31.6 g
脂質 16.1 g
カルシウム 99 ㎎
3 ㎎
ビタミンA 721 μgRE
ビタミンB1 0.36 ㎎
ビタミンB2 0.39 ㎎
ビタミンC 23 ㎎
食塩相当量 2.6 g
食物繊維相当量 6.1 g

エネルギーを500kcal以下にする場合

米の量を減らし、野菜はゆで、
砂糖を人工甘味料に変える

わっぱ飯に使用する米の量を150gから100gに減らすと、エネルギーはマイナス約90kcalになります。南蛮エビ入り里芋のコロコロ団子に添えたアスパラガスとナスは、素揚げではなくゆでることで、約100kcal減少。さらに、梅酒ゼリーの砂糖を人工甘味料に変えることで、合計約200kcal減らすことができます。

塩分を2g以下にする場合

みそ汁を半量にし、
わっぱ飯に使用する塩を減らす

みそ汁を半量にすると、塩分は0.5g減らせます。わっぱ飯の米を炊く際の調味料や鮭の下味、枝豆をゆでる際の塩は使わなくても構いません。ご飯に混ぜる生姜と青シソの香味、イクラの塩味に加え、蒸すことで、わっぱの木の香りが料理全体に移るため、塩を減らしても十分おいしくいただけます。