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処暑近づく秋を感じる 熊本野菜と魚介の旨みごはん

里帰り出産を優しくサポート

 初産を終えた娘が、退院して帰ってきた。婿と暮らす市内のマンションを離れ、一カ月ほど我が家で過ごすという。そろそろ秋風が訪れる季節のはずだが、裏の山からは、降るような蝉しぐれが聞こえてくる。
 座敷で涼む娘に、よく冷えた麦茶を出してやると、「至れり尽くせりで、やっぱり実家はいいねぇ」と相変わらずのんきな口ぶりだ。それでも、腕に小さな我が子を抱え授乳する姿は、すっかり母親の顔をしている。
 「夕食はタコ飯にしようか」と座敷に声をかけ、支度にとりかかる。途中、赤ん坊を寝かしつけた娘も加わり、久しぶりに二人並んで台所に立つ。
「だご汁も作ろうよ。だご汁ってときどき無性に食べたくなる」
「栄養たっぷりだから、体が欲するんだろうね。母乳にもいいと思うよ」
たわいない会話でしばらく盛り上がっていると、隣の部屋から、かすかに「オギャー、オギャー」と泣く声が聞こえてきた。
 「あ~、もう起きちゃったよ~」と慌ててあやしに行く娘の背中に、心の中で「新米ママ、応援してるよ!」とエールを送った。

献立のポイント

今回使用した食材
今回使用した食材

 「タコ飯」は、タコのだしとうま味が存分に楽しめる料理です。今回はゆでたタコを使用して作りましたが、生ダコで作ると、タコの色素が溶け出して赤飯のように見えることから、お祝いのときにも出される一品です。 
 「だご汁」は、小麦粉を練ってちぎった平らな団子(だご)を汁に入れた、熊本の郷土料理です。「だご」とは、熊本弁で「団子」のことを指します。朝から晩まで農作業で忙しく、食事の手間をなんとか省きたい農家の人々が、素早く簡単に調理できるように作ったことが始まりといわれています。調理が手軽なだけでなく、たっぷりの野菜と団子が入ることで、栄養バランスと腹持ちのよい一石二鳥の料理として古くから親しまれており、味は、みそ、醤油、塩と家庭によってさまざまです。

塩トマト

塩トマト

 塩トマトは、熊本県の八代(やつしろ)地区が生産地です。八代地区は、100年ほど前まで海底にあり、その後農地として開拓された干拓地で、土壌は天然のミネラルを多く含んでいます。この地で育った塩トマトは、通常のトマトに比べ約1.5倍の糖度があり、さらに、土壌中の塩分が吸収されているので、甘みがより強く感じられます。また、皮が硬く肉厚ですが、その分日持ちがするのも特徴です。小ぶりなので丸ごとかじれるうえ、中身はジューシーで甘く、子どものおやつ代わりにもぴったりです。


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レシピ作成
みすみ病院
栄養管理室
室長 益田 るみ(右)
主任 馬原 優香(左)

1食の栄養価 (1人分)

エネルギー 664 kcal
たんぱく質 39.0 g
脂質 12.6 g
カルシウム 55 ㎎
2.7 ㎎
ビタミンA 127 μgRE
ビタミンB1 0.49 ㎎
ビタミンB2 0.28 ㎎
ビタミンC 16 ㎎
食塩相当量 4.1 g
食物繊維相当量 2.5 g

エネルギーを500kcal以下にする場合

タコ飯の量を減らし、
デザートの砂糖は人工甘味料で代用

タコ飯のできあがりの量を1人約250gから約150gにします。さらに、トマトのシャーベットで使用する砂糖を人工甘味料に変更すると、カロリーが約200kcal減少します。

塩分を2g以下にする場合

タコ飯と鯛の山椒焼きには減塩醤油を使い、だご汁は具だくさんにして汁の量を減らす

タコ飯に使用する醤油を減塩醤油に変更します。さらに、鯛の山椒焼きは塩を使わず調理し、減塩醤油を付けていただきます。また、汁物は塩分が高くなりがちなので、だご汁は具だくさんにして、汁の量を半分にしましょう。