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ホーム >  栄養プロの軽カロ減塩レシピ > 春を告げる岡山の味 瀬戸内の旬が満載のまつり寿司

清明春を告げる岡山の味
瀬戸内の旬が満載のまつり寿司

桜の下で楽しむ、個性豊かな味わい

 今年も街のあちこちで桜のつぼみがほころび始めた。毎年我が家では、 庭に咲く小さな桜を眺めながら、手製のまつり寿司を囲むのが恒例だ。  朝から、義母と娘と三人で食材の買い出しに行き、準備に取り掛かる。 具材の切り方から始まり、娘の部活動や近所のうわさ話まで、台所では、 女三人のおしゃべりに花が咲く。  県外から嫁いできて十五年。結婚前から料理教室に通い、料理の腕には 自信があったが、義母の作るまつり寿司の味には毎回舌を巻く。計量器は 一切使わず、目分量で味付けされた具材と酢飯のバランスは絶妙で、 娘も「おばあちゃんは、まつり寿司作りの天才!」と大絶賛だ。  縁側に腰掛け、皿に彩りよく盛り付けられたまつり寿司を食べながら、 「お義母さんの味がなかなか出せない」と愚痴をこぼすと、義母は「私の まねなんかしないで、あんたの味を出せばいい」とニコニコ。  近所に住む夫の姉夫婦も加わり、今年も賑やかで楽しいお花見になった。

献立のポイント

今回使用した食材
今回使用した食材

 岡山のまつり寿司は、閑谷学校を作った備前岡山の藩主池田光政によって、質素倹約が奨励されて生まれた料理です。重箱の下に瀬戸内の海の幸をたくさん入れ、上に酢飯の混ぜご飯を詰めて質素に見せ、倹約令を守っているように装ったことが由来と言われています。岡山県では、お祭りやお祝いなど人が大勢集まるときにはまつり寿司を作ってみんなで食べたり、重箱に入れて配ったりします。
 岡山のまつり寿司の特徴は、砂糖と酢を同量入れて寿司酢を作ることです。寿司に混ぜる具は地域や季節によって異なりますが、主に、ニンジン・ゴボウ・カンピョウなど山の幸を入れます。飾る具は、アナゴ・エビ・イカ・タコ・サワラ・シャコといった海の幸を使います。味噌汁に入れる白子はサワラが用意できなければ、タラの白子で代用します。

鰆(サワラ)の白子

鰆(サワラ)の白子
※今回は代用品として
タラの白子を使っています

魚偏に春と書いて「鰆(サワラ)」と呼ぶように、春を告げる魚として知られます。岡山を代表する魚で、県内での消費量は全国の約3割を占めます。瀬戸内海では晩春から初夏にかけてが旬で、まつり寿司には欠かせない食材のひとつです。また、その卵は白子と真子とがあり、白子はお吸物、真子は煮付けにするとおいしくいただけます。濃厚な味わいが特徴の白子は、さっと湯引きをしてから楽しみましょう。


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レシピ作成
介護老人保健施設たちばな苑
栄養科 主任管理栄養士
小林 慶子

1食の栄養価 (1人分)

エネルギー 681 kcal
たんぱく質 28.8 g
脂質 12 g
カルシウム 204 ㎎
3.8 ㎎
ビタミンA 41 μgRE
ビタミンB1 0.3 ㎎
ビタミンB2 0.48 ㎎
ビタミンC 36 ㎎
食塩相当量 7.4 g
食物繊維相当量 7.4 g

エネルギーを500kcal以下にする場合

砂糖の代わりに人工甘味料を使い、
味噌汁はすまし汁に、天ぷらは和え物や煮物に変更

砂糖はまつり寿司の酢飯のみに使用し、具材の味付けとイチゴミルク寒天に使う砂糖を、マービーなどの人工甘味料で代用します。また、イチゴミルク寒天の牛乳を低脂肪牛乳に替え、味噌汁はすまし汁に、天ぷらは和え物や煮物に変更しましょう。

塩分を2g以下にする場合

味付けには減塩醤油を使い、
天ぷらは揚げたてをそのまま

具材の味付けに使用する醤油を減塩醤油に替え、天ぷらは、タケノコの味付けのみ少しして、そのまま揚げたてをいただきましょう。白子の味噌汁は塩分が多いので、サラダに変更し、無塩のドレッシングを作ります。