済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
「久しぶりにあのパスタが食べたいわ」
先日、妻が定年を迎えた。お祝いに今夜はおいしいものでも食べに行こうかと提案すると、先の言葉が返ってきた。「あのパスタ」とは、私たち夫婦にだけ通じる暗号のようなもので、私の得意料理のひとつである。
あれは何十年前だったか。新婚旅行で岩手に行き、歩き疲れて入った洋食店で衝撃の料理に出会った。それは、盛岡冷麺をトマトソースでパスタ風に仕上げた一品で、あまりのおいしさに、私たちは翌日も同じ店に足を運んだ。
ところが、いくら探しても昨日の店が見つからない。旅の終りも近くなり、「おそらくあの店は、趣向を変えた『山猫軒』だったのだろう」などと、岩手出身の作家、宮沢賢治の『注文の多い料理店』に登場する店を引き合いに出し、再訪をあきらめ家路についた。しかし、家に帰ってもやっぱりあの味が忘れられない。そこで、記憶を頼りに自作したのが「あのパスタ」だった。
「お互い時間もできたし、今度ゆっくりと店を探しに行ってみようか」
思い出の味を堪能しながら、旅行の計画話で祝いの夜は更けてゆく。
今回使用した食材
岩手県の特産として名高い「盛岡冷麺」に、たっぷりの魚介とトマトソースをからめ、温製パスタに仕上げました。この料理は私の義父が営むイタリアンレストランで出しているメニューで、今回はそのレシピを少しアレンジしています。麺はゆですぎないように注意しましょう。主菜には、岩手の銘柄鶏で豊かなコクと旨みが特徴の「南部どり」を使用。カラフルなピーマンを散らして春らしさを演出しています。季節の温野菜をたっぷり添え、満足感の高い一品です。
グリーンサラダには、「和クルミ(鬼クルミ)」と呼ばれる岩手産の天然クルミをトッピング。香ばしいクルミの食感がアクセントです。今回はむきクルミを使いましたが、殻付きの和クルミを使う場合は、クルミ割り器やトンカチなどを使って固い殻を割り、先の尖ったもので中の実を慎重に取り出しましょう。デザートのヨーグルトソルベには、イチゴとブルーベリーを添えました。岩手は乳製品の製造会社が多数あり、北上済生会病院でも毎日新鮮な牛乳とヨーグルトを提供しています。ソルベは生クリームを入れずに、ヨーグルトとレモン汁で仕上げると、よりヘルシーであっさりとした味わいになります。お好みで練乳もしくは、ベリー以外のフルーツを入れてもよいでしょう。
強いコシのある食感とツルツルとした喉ごしのよさが特徴です。ゆでた麺には透明感があり、冷やして食べるだけでなく、暖かい調理にもよく合います。料理としての「盛岡冷麺」は、「わんこそば」「じゃじゃ麺」と並ぶ「岩手の三大麺」のひとつです。1954(昭和29)年ころ、岩手県盛岡市に店を構えた麺職人が創作し、メニューとして提供したのがその始まりです。1986(昭和61)年に盛岡市で開催された『日本めんサミット』に出品され、「盛岡冷麺」と名付けられました。
レシピ作成(右から)
北上済生会病院 栄養管理科
主任管理栄養士 佐藤 智子
管理栄養士 菊池 祥子
管理栄養士 渕澤 由香
管理栄養士 工藤 理沙
エネルギー | 695 kcal |
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たんぱく質 | 37 g |
脂質 | 16.9 g |
カルシウム | 250 ㎎ |
鉄 | 3.2 ㎎ |
ビタミンA | 769 μgRE |
ビタミンB1 | 0.3 ㎎ |
ビタミンB2 | 0.49 ㎎ |
ビタミンC | 98 ㎎ |
食塩相当量 | 4.5 g |
食物繊維相当量 | 6.4 g |
シーフードパスタに使う冷麺の量を1人あたり135gから85gに減らします。グリーンサラダにはクルミを入れず、ドレッシングは市販のノンオイルドレッシングで代用しましょう。主菜の南部どりにのせるチーズは省きます。
主食のシーフードパスタは、減塩醤油を使ったレモン風味サラダ冷麺(詳しい作り方はこちら)に変更します。このとき、麺の量も1人あたり135gから90gに減らしましょう。さらに、南部どりのチーズ焼きのチーズを省くことで、塩分を計2.5g減らすことができます。