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立春福島の冬 ~厳しい寒さを乗り越えた滋味を堪能~

寒さに育まれた優しさ

  福島に住み始めて二十年、この時期は厳しい寒さとの戦いだ。  でも、その中だからこそ、たくましく育つものがあることも知ることができた。たとえば、私の大好きな凍み大根や凍み豆腐。厳しい雪国の環境にいる私たちを、その優しい甘みで包み込んでくれるような気がする。  今日は、そんな冬に生まれた娘の誕生日。いつもはケーキを用意して、妻がごちそうをふるまってお祝いするのだが、今年は娘が自分で料理を作ると言いだした。 「郷土料理づくしのメニューを習ったから、作り方はバッチリだよ! お父さんの好きな煮物もあるし」  娘の料理を食べたことがない私は、どんなものを食べさせられるの かと、ドキドキしながら待っていたが、どうやら完成したようだ。 「二十歳を迎えた私から、育ててくれたことへの感謝のプレゼント!」 娘は、明るい笑顔でそう言って料理を取り分ける。この子も、この地で優しく、たくましく育ってくれたようだ。

献立のポイント

今回使用した食材
今回使用した食材
※凍み大根は代用品です

 いか人参は、今でこそ年間を通じて食べられていますが、昔は寒い冬の保存食として各家庭で作られていたもので、福島のお正月には欠かせない一品でもあります。さらに、凍み大根、凍み豆腐は福島の寒い冬の気候を利用して作られ、保存食としてさまざまな料理に使用されます。煮物などにすると煮汁を吸い、とてもおいしくいただけます。凍み大根の戻し汁には甘みがあるため、みりんや砂糖による味付けの代わりとして使用します。
 鰊(にしん)は、腹骨をすく、熱湯をかけてうろこをとるというひと手間を惜しまないことが食べやすさのポイントです。また、福島市はゆずの北限ともいわれ、寒さに耐えるため、暖かい地方のゆずと比べて、肉厚で香りが高いのが特徴と言われます。

鰊(にしん)

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春告魚(はるつげうお)とも呼ばれ、秋から春にかけて旬を迎える魚です。その卵巣は数の子として食べられ、おせち料理には欠かせない食材の一つです。保存食としては「身欠きにしん」が知られており、内臓や数の子を取り出して2~3日乾かしたあと、1カ月以上干し固めます。福島県では、これと山椒の葉を重ねた漬け込んだ「にしんの山椒漬け」や、水で戻したものを天ぷらにしたものが郷土料理として有名です。


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レシピ作成
済生会福島総合病院
給食栄養係 管理栄養士
高橋 幸子

1食の栄養価 (1人分)

エネルギー 605 kcal
たんぱく質 28.7 g
脂質 10.4 g
カルシウム 232 ㎎
4.4 ㎎
ビタミンA 663 μgRE
ビタミンB1 0.33 ㎎
ビタミンB2 0.35 ㎎
ビタミンC 45 ㎎
食塩相当量 4.3 g
食物繊維相当量 8.8 g

エネルギーを500kcal以下にする場合

いなり寿司のご飯を減らし、具の量を増やす

いなり寿司は、ご飯を1人150gから100gに減らし、具のひじき、シイタケ、ニンジンの量を増やします。ユズ寒天は、ゼロカロリーの砂糖を使用しましょう。

塩分を2g以下にする場合

梅ドレッシングをすし酢にし、減塩しょうゆを使用

いなり寿司の梅ドレッシングを、酢と砂糖だけのすし酢に変更しましょう。さらに、油揚げ、いなりの具、凍み大根の煮物の醤油をそれぞれ減塩しょうゆに変えることで、塩分を計2.4g減らすことができます。