済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約67,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、404施設・435事業を運営し、67,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
40都道府県で、病院や診療所などの医療機関をはじめ、高齢者や障害者の支援、更生保護などにかかわる福祉施設を開設・運営。さらに巡回診療船「済生丸」が瀬戸内海の57島の診療活動に携わっています。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2014.08.06 公開
2025.05.27 更新
多発性硬化症とは、視神経、脳、脊髄といった中枢神経系のあらゆる箇所に病変ができる病気です。症状は、病変ができる部位によって異なるために、視力障害、しびれなどの異常感覚、感覚鈍麻(かんかくどんま=感覚が鈍くなること)、麻痺など、非常に多彩です。そして、再発と寛解(かんかい=症状が落ち着いて安定した状態)を繰り返すため、治療に公費からの補助が受けられる、特定疾患に認定されています。特定疾患としての多発性硬化症には、「視神経脊髄炎(ししんけいせきずいえん)」も含まれているので、ここでは合わせて解説します。
視神経脊髄炎は、元々「多発性硬化症」としてひとまとめに考えられていました。視神経と脊髄に病変が好発するタイプが日本などに多く、大脳に病変が好発するタイプが欧米に多いとされてきましたが、近年、視神経脊髄炎に特異的な抗体(抗アクアポリン4抗体)が発見され、別の疾患として分けて考えられるようになりました。症状はよく似ていますが、患者層や検査結果、症状の強さ、治療法などが異なることが分かってきたためです。
多発性硬化症と視神経脊髄炎は、急性期には症状をできるだけ速やかによくするための治療を行ない、寛解期(症状がおさまっている時期)には症状を再発させないための治療を行ないます。
急性期においては、どちらの病気もステロイドを点滴する「ステロイドパルス療法」や、血漿(けっしょう)を健常なものに入れ替える「血漿交換療法」などが行なわれます。
寛解期においては治療法が異なります。近年、予防薬の選択肢が広がっており、多発性硬化症ではこれまで用いられていた「フィンゴリモド」などに加え、比較的安全性の高いグラチラマー酢酸塩やフマル酸ジメチル、より効果の高いナタリヅマブ、オファツマブなどが使用できるようになっています。視神経脊髄炎では、「経口ステロイド」や「免疫抑制剤」に加え、一部の免疫系を選択的に調整する生物学的製剤といわれる薬剤も使用されるようになりました。
監修:矢部 勇人
松山病院
脳神経内科 主任部長
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