社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2015.03.18 公開

小児てんかんおよび熱性けいれん

epilepsy

解説:田中 主美 (川内病院 統括診療部長・小児科部長)

小児てんかんおよび熱性けいれんはこんな病気

小児てんかん

てんかんは、大脳ニューロンという神経細胞が、「電位」と呼ばれる信号を、いきなり過剰に発射することによって、発作が繰り返し起きる、慢性の疾患です。全小児の中でこの病気にかかっている方の割合は0.5~0.8%で、国内における患者数は100万人以上とされています。

小児てんかんの特徴は、表1のように年齢によって発生しやすい種類が異なる点です。乳児期に発症するてんかんは、大田原症候群やウエスト症候群など難治性のてんかん性脳症群と、抗てんかん薬が効きやすく、2歳前後には治癒する良性乳児てんかんに大きく分かれます。幼児期以降は、頻度的には小児欠神てんかん、ローランド発作、若年性ミオクローヌスてんかんといわれるものなどが多くあります。

主なてんかん症候群の好発年齢

治療法は、症状や検査などから確実な診断を行ない、その診断に基づいた最適の抗てんかん薬を投与することです。最近、難治例でけいれんの原因となる病巣が検査の画像上明らかになる症例では、てんかん脳神経外科による手術例も増加している傾向にあります。

熱性けいれん

脳には興奮性ニューロンと抑制系ニューロンというものがあり、脳はそのバランスを上手に保ちながら活動しています。小児では、発熱嘔吐下痢などに伴って、このバランスが崩れてけいれんが起こりやすくなります。熱性けいれんは、38℃以上の発熱に伴うけいれんで、継続時間は5分以内が多いのが特徴です。起こりやすい年齢は、6カ月~6歳で、子どもの8~9%と高い頻度でみられます。同日にけいれんを繰り返す例や、けいれんが15分以上継続する例では、髄膜炎、脳炎などの可能性も疑われます。熱性けいれんを繰り返す例では、けいれん予防のため、発熱し始めにベンゾジアゾピン系坐薬を使用するのが一般的です。

田中 主美

解説:田中 主美
川内病院
統括診療部長・小児科部長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。
※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE

関連記事

  1. 急性脳炎(病名から探す)
  2. 突発性発疹(小児バラ疹)(病名から探す)