2024.12.11 公開
萎縮性膣炎
atrophic vaginitis
解説:岡田 理 (豊浦病院 産婦人科科長 )
萎縮性膣炎はこんな病気
萎縮性腟炎とは、閉経や子宮がんなどによる卵巣摘出がきっかけで女性ホルモン(エストロゲンや卵胞ホルモン)が低下し、外陰部や腟粘膜が萎縮(縮んで小さくなる)・乾燥することで傷がつきやすく、炎症が起きやすくなる病気です。衣服による摩擦刺激や、膣が萎縮している状態の性行為などによって膣や外陰部が傷つき、細菌が侵入することで発症します。デリケートな悩みで放置してしまう人も多い病気ですが、実は閉経期以降の女性の多くが萎縮性腟炎と思われる症状に悩んでいるといわれています。
萎縮性膣炎の症状
多くの場合は、閉経後数年してからの頻尿、陰部の痛み・乾燥による陰部の不快感、掻痒(そうよう=かゆみ)感、おりものの異常(黄色い・緑っぽい、においがいつもと違うなど) 、性交時の痛みなどの症状が出ます。炎症によって不正性器出血が起こることもあります。
萎縮性膣炎の検査・診断
まず、問診と内診を行ないます。内診では、点状出血(毛細血管が破れることで皮膚に現れる、赤色や紫色の小さな点)がないか確認します。ここで診断がつく場合もありますが、多くの場合は子宮がん検査や細菌感染の検査を行ない、悪性腫瘍や細菌感染の有無を確認します。
萎縮性膣炎の治療法
治療は局所の保湿剤、ステロイド剤、潤滑ゼリーなどを症状に応じて処方する対症療法が中心となりますが、症状が強い場合や対症療法による効果が少ない場合はホルモン剤による治療を行なう場合があります。ホルモン剤には飲み薬・貼り薬・腟錠・塗り薬などがあり、粘膜の潤いを取り戻し膣の状態を改善してくれます。腟錠(女性ホルモンを含有)は比較的短期間の治療で症状が改善する場合も多く、副作用も少ないため治療薬としてよく選択されています。治療については担当医とよく話し合い、自分に合った治療法を選んでください。外陰部を清潔に保つことも重要です。
解説:岡田 理
豊浦病院
産婦人科科長
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