済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
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2024.09.25
肺は空気の通り道である「気管支」と、気管支の先にある、酸素と二酸化炭素のガス交換を行なう「肺胞」の2つで構成されています。
気管支に炎症が生じるのが「気管支炎」、気管支とその先端の肺胞に炎症が生じるのが「気管支肺炎」、直接肺胞に炎症が生じ、肺胞同士の連絡通路を通って周囲の肺胞へ炎症が広がるのが「肺炎(大葉性肺炎)」です。
気管支肺炎の多くは、風邪によって生じた炎症が、鼻やのどを通って気管、気管支へ広がることで生じます。炎症の原因となる微生物は、風邪の原因となるウイルスのほか、マイコプラズマ肺炎をもたらすマイコプラズマニューモニエが代表的です。また食べ物や飲み物、唾液と一緒に、口の中の細菌が気管支へ入り込むことでも起こります。
主な症状は頑固なせきや痰です。発熱、食欲不振、身体のだるさ(倦怠感)を伴うこともあります。
痰に原因となる細菌が含まれているかを検査します。発熱や倦怠感などが長引く場合は、肺炎を併発している可能性があるため、胸部レントゲンや胸部CT検査を行ないます。
原因の多くは風邪と同じウイルスであり、安静にしながら水分や栄養の補給などを行なう対症療法が中心となります。マイコプラズマニューモニエや、口の中の細菌による感染が疑われる場合は、抗菌薬を使用して疾患の原因そのものを取り除く原因療法を進めます。
せきは、痰などの異物を「空気の通り道」である気道から追い出すための手段なので、むやみに止めず、日常生活に支障をきたす場合のみ、せき止め(鎮咳薬)を使用します。同じく発熱も感染しているウイルスや細菌の増殖を抑制するための防御反応なので、解熱剤は基本的に熱が38℃以上あり、身体にだるさが現れたときに服用します。痰の粘りが強く出しにくいときは、痰切りの薬(去痰薬)を使って対処します。
せきや痰といった呼吸器症状がある場合は、病院の受診をお勧めします。特に風邪をひいて発熱が数日以上続くときは、肺炎や気管支肺炎を合併している可能性が高いので、必ず受診しましょう。
高齢者の場合、発熱やせき、痰などの症状が目立たないこともあります。普段と比べて元気がない、食欲がないなど、気になる症状が現れたら病院に行きましょう。
肺炎球菌やインフルエンザウイルス、新型コロナウイルス、RSウイルスに対してはワクチンがあります。ワクチン接種により、感染の予防はもちろん、感染しても症状が軽くなる効果が期待できます。
そのほか、風邪の予防と同じように、普段から手洗いによる感染予防が大切です。ウイルスや細菌による感染の場合は、せきによる唾液の飛沫で周りの人にうつす可能性があります。一般的には治癒しやすい病気ですが、基礎疾患がある人や高齢者が感染すると重症化することもあります。せきが出るときはマスクを着用するなど、せきエチケットを守りましょう。
解説: 吉橋 彩子
済生会守山市民病院
呼吸器内科 副部長
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