2016.09.14 公開
耳瘻孔(じろうこう) (先天性耳瘻孔)
Congenital Aural Fistula
解説:清水 良憲 (福井県済生会病院 耳鼻咽喉科主任部長代行)
耳瘻孔はこんな病気
耳瘻孔は、正式には先天性耳瘻孔という生まれつきの病気で、耳の付け根付近に小さな穴が生じます。
耳は複数のパーツが合わさって形作られていて、通常であればそのパーツがきれいに合体するところが、合体が不十分であるために隙間ができ、起こります。耳瘻孔の多くは、1~1.5㎝の浅い穴ですが、耳の穴までつながっていることもあります。
耳瘻孔の患者さんはほとんど症状が出ないことも多いですが、穴の中に汗や垢などの分泌物がたまり、排出され、異臭を放つこともあります。また感染を起こし、腫れや痛みが出る場合もありますので、その際には形成外科や耳鼻科を受診しましょう。
耳瘻孔の皮膚
耳瘻孔の治療
耳瘻孔は自然にふさがることはありません。感染を繰り返してひどく腫れるようになった場合には、抗生剤などで治療し、炎症が落ち着いたら手術により穴を摘出する治療があります。
成人の場合は局所麻酔で、子どもの場合は全身麻酔による手術を行ないます。手術では、穴とその周囲の組織ごとくりぬきます。皮膚の欠損を最小限におさえるため、傷も小さくすみます。まれに穴の一部が残るため、再発することがあります。
早期発見のポイント
耳瘻孔は遺伝するといわれていますので、両親や祖父母にある場合には、お子さんにもあるかもしれません。耳瘻孔は先天性の病気で、症状が出ない方も多いことから無理に見つける必要はありません。見つけた場合も気にし過ぎず、あまり触らないようにしましょう。症状がなければ放っておいても問題はありません。
予防の基礎知識
耳瘻孔は先天性の病気なので、予防することはできませんが、感染には十分気を付けてください。穴の部位に感染が起きると痛みが出ますので、むやみに触らないようにしましょう。特に夏場は汗をかくことにより、皮膚が感染しやすくなるので、注意してください。とはいえ、必要以上に神経質になる必要はないので、入浴や洗顔など、普通の生活をしていても問題はありません。
解説:清水 良憲
福井県済生会病院
耳鼻咽喉科主任部長代行
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※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。