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済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
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2019.03.27
新生児敗血症とは、新生児が罹患する敗血症のことです。敗血症とは、細菌などの病原微生物に感染し、臓器障害が現れている状態を指します。敗血症自体は年齢に関わらずに発症する病気ですが、特に新生児は免疫学的に未熟であるため重症化しやすく、肺炎や髄膜炎を併発することもあります。そのため、早期診断、早期治療が極めて重要です。新生児敗血症の原因菌としてはB群溶血性連鎖球菌(GBS)が代表的ですが、大腸菌、リステリア、ブドウ球菌の場合もあります。
新生児敗血症は、生後72時間以内に発症する早発型と、それ以後に発症する遅発型に分類されます。しかし、GBS感染症の場合は、生後7日以内を早発型、それ以後を遅発型と分類します。GBS敗血症の早発型は肺炎を、遅発型は髄膜炎を併発することが多くみられます。遅発型は早発型に比べ死亡率は低いのですが、神経学的な後遺症をきたすリスクが高くなります。
出生前に感染している場合、仮死状態で出生することもよくあります。肺炎を合併していることも多いため、呼吸障害を伴っていることもあります。また、出生後まもなく発症する場合は、急激に全身状態が悪化することがあります。
哺乳力(母乳やミルクを飲む力)低下、発熱、体温低下、呼吸困難、無呼吸、活気低下、皮膚色悪化、お腹が張るといった症状が現れたときは注意が必要です。
発症の時期や臨床経過から、原因と考えられる病原菌を推定し、有効な抗生物質を投与します。
早発型敗血症の治療は、GBSや大腸菌を考慮した抗生剤を使用します。遅発型敗血症は、新生児集中治療室に入院している子どもに多いため、定期培養で検出されている菌を参考に抗生剤が選ばれます。血液培養で原因菌が判明されれば、効き目などを参考に抗生剤を変更することがあります。
前述したような、哺乳力や体温の低下などの症状に注意する必要があります。出生時に問題はなくとも、生後数日で発症し急激に症状が悪化することもあるため、なんとなく元気がないなど、気になる点があれば、遠慮せずに医師や看護師に伝えましょう。
生後3カ月以内、特に生後1カ月以内での発熱は重症感染症の可能性が高いため、検査と治療のために入院する必要があります。生後3カ月までの発熱は、早めに受診するようにしましょう。
新生児敗血症は早産児(在胎37週未満)に多く、正期産児(在胎37週以降)に限ると出生1000に対して1~2人の割合です。GBSは直腸や腟の常在菌であり、母体がGBSを持っている確率は10~30%と高く、かつては保菌妊婦からの出生児の35%にGBSが感染していました。しかし、現在はGBSを保菌している妊婦にはあらかじめ抗菌薬を投与するため、新生児のGBS感染症発生率は1000あたり0.2人と大幅に低下しています。ただ、そのうちの約半数は母体からではなく、環境や周りの人からの感染です。そのため、新生児敗血症を防ぐためには、周囲の手指衛生も重要となります。
解説:新井 順一
茨城県立こども病院
副院長
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