社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2018.06.06

REM睡眠行動障害

REM Sleep Behavior Disorder

解説:近藤 英明 (済生会長崎病院 睡眠医療センター長)

REM睡眠行動障害はこんな病気

睡眠はREM(レム)睡眠とNREM(ノンレム)睡眠に分けられます。REMは英語の”Rapid Eye Movement(急速眼球運動)”の頭文字をとったものです。いわゆる、夢を見ている状態です。一晩の間に3~5回、おおよそ90分間隔で出現します。1回のREM睡眠は数分程度のこともあれば、1時間前後に及ぶこともあります。夢を見ているときに目玉がくるくる動いているため、この名称が付けられました。

REM睡眠の特徴の一つは、脱力状態になることです。夢見に関わる脳の神経活動は高まっていますが、手足は脱力状態で、思うように動かせない「金縛り」が生じています。REM睡眠時、この脱力状態にならずに、夢の通りに行動してしまう病気がREM睡眠行動障害です。夢の内容次第では自分自身がケガをする、もしくはベッドパートナーにケガさせてしまったり、周囲の物を壊すこともあります。

通常、50歳以降に、早い場合は40代から症状が目立つようになります。REM睡眠時の問題だけでなく、目が覚めているときでもにおいが分からなくなることや便秘が目立つこともあります。一部の人はパーキンソン病レビー小体型認知症を併発していることもあり、これらの病気の初期症状として発症することがあります。そのため、これらの疾患や異常の合併がないか、初診時だけでなく、5年、10年単位の長期にわたって注意することが必要です。

夜間の行動が激しい場合には、動きを抑制するために抗けいれん薬に分類されるクロナゼパムが使用されます。これは、多くの睡眠薬や抗不安薬と同じ種類の薬剤です。不眠の改善が期待される一方で、眠気やふらつきなどに注意が必要です。睡眠時無呼吸症候群がある場合には、無呼吸が重症化することもあります。漢方薬の抑肝散を含めて、複数の薬剤が有効です。

近藤 英明

解説:近藤 英明
済生会長崎病院
睡眠医療センター長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。
※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE

関連記事

  1. レビー小体型認知症(病名から探す)
  2. 日中にひどく眠い! それ、睡眠時無呼吸症候群かも…(病気解説特集)