済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約66,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
40都道府県で、病院や診療所などの医療機関をはじめ、高齢者や障害者の支援、更生保護などにかかわる福祉施設を開設・運営。さらに巡回診療船「済生丸」が瀬戸内海の58島の診療活動に携わっています。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2018.09.19 公開
黄熱ウイルスに感染したネッタイシマカという蚊に刺されることで感染します。病名は黄疸(おうだん=体が黄色くなる症状)が現れることに由来しています。アフリカや南米のアマゾン川流域ではいまだに流行しており、渡航者にも感染するリスクがあります。全世界の患者数は年間20万人と推定されています。
黄熱ウイルスのヒトへの感染様式は3つあります。「ジャングル(森林)型サイクル」は、蚊とサルの仲間の間で形成され、ジャングルに入った人が蚊を介してサルなどからウイルス感染します。「中間(サバンナ)型サイクル」は、アフリカにおいて蚊とサルの仲間、そしてジャングルの周辺境界部で生活する人の間で形成されます。蚊を介してサルの仲間からヒトへ、あるいはヒトからヒトへウイルスが感染します。「都市型サイクル」は、ヒトと都市の蚊の間で形成されます。
図:3つの感染サイクル
診断は血液から黄熱ウイルス遺伝子または抗体を検出することで下されます。また、致死率が高く危険ですが、一度感染すると免疫を獲得することができます。
感染しても症状がはっきり出ない場合が多いですが、3~6日程度の潜伏期を経て突然の悪寒とともに発熱や頭痛、筋肉痛、嘔吐などが現れる可能性があります。ほとんどの場合、これらの初期症状が現れても後で回復しますが、15%程度の割合で重症化し黄疸や出血傾向(鼻出血、歯肉出血、下血など)などの徴候が出て、最終的に血圧低下や多臓器不全(複数の臓器障害が起きる状態)に至ります。重症例での致死率は20%と高く、免疫のない渡航者では60%に達します。
特別な治療法はなく、解熱剤投与や点滴による水分補給などの対症療法のみです。早期の治療が重要になります。感染した場合は、症状が出て2~3日間は蚊に刺されないようにする必要があります。
解説:岩崎 教子
済生会福岡総合病院
感染症内科主任部長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。
※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。