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2014.09.24
胆石とは、胆管系のどこかに石ができる病気のことをいいます。胆管系とは、肝臓で作られた胆汁を肝臓から腸(正確には十二指腸)に流す管組織の総称です。発生した石の所在部位により、胆のう結石、総胆管結石、肝内結石に分けられますが、なかでも最も頻度が高いのは胆のう結石です。俗に「胆石」といえば、胆のう結石を表していることが多いです。
石といっても、もちろん道端に転がっている石とは異なり、その成分は胆汁中に含まれるコレステロールやビリルビンなどが沈殿・析出(せきしゅつ)したものです。また、原因として細菌、特に腸内細菌が関与しているものもあります。近年では食生活の欧米化により、以前の日本には少なかったコレステロール結石が増加しています。
肝内結石は全胆石の1~2%と頻度は低いものの、治療方法が確立されていない難病を扱う臨床調査研究分野の対象疾患130疾患の中に入っており治療が難しい病気です。
ただし、胆石があっても、無症状であることが少なくありません。これを「無症候性胆石」と呼び、胆のう結石の約5割を占めると言われています。
胆石の主な症状として以下がみられます。
1. 腹痛
右脇腹を中心に腹痛を発症します。特に、胆石による腹痛は脂っこい食事をした後に起きることが多いです。胃・十二指腸潰瘍による腹痛の多くは空腹時に起きるので、この点に違いがあります。
2. 黄疸(おうだん)
総胆管結石や結石性胆のう炎の場合、白目部分が黄色くなったり、皮膚が黄色くなる黄染、かゆみといった黄疸(おうだん)が出ることもあります。この状態を放っておくと、肝臓にダメージを与え、果ては全身へ悪影響を及ぼします。
3. 発熱
胆石に感染が併発すると、胆のう炎・胆管炎を起こし、発熱を引き起こします。これは適切な治療が必要な状態です。特に黄疸(おうだん)と発熱が合併した場合、命にかかわる病態(重症急性胆管炎など)も予想されますので、早急に医療機関を受診してください。
いずれにしても、症状を有する胆石は治療が必要となるので、消化器科・外科などの専門医を受診することをお勧めします。
胆石には「5つのF」に該当する方々がなりやすいと昔から言われてきました。
「5つのF」は、以下を意味します。
・40~50歳(Forty or Fifty)
・やや肥満傾向にある(Fatty)
・色白(Fair)
・多産(Fertile又はFecund)
・女性(Female)
近年、住民健診や人間ドックでは腹部超音波検査が広く普及しており、検診の際に胆石が偶然見つかるケースが少なくありません。現在、上記の条件すべてに証拠があるとは言えませんが、肥満傾向、年齢(50歳以上)、さらに女性であるという条件は、胆石と因果関係があるようですので、これらに相当する方は定期的な超音波検査が必要でしょう。しかし、胆石が見つかったというだけでは治療の対象にならないこともあるので、医療機関に相談してください。
もちろん、上記の条件を満たさない方であっても、機会があれば超音波検査を受けることは悪いことではありません。
胆のう結石の治療には胆のう摘出手術を行ないます。胆のうを摘出したとしても、胆汁自体は肝臓で作られているため、術後の日常生活にはほとんど影響しません。
総胆管結石の治療には内視鏡的(胃カメラのやや長いものを使用)治療と手術による治療があります。
肝内結石は極めて治療が難しい病気で、肝切除が必要になることもあります。いずれにしても身体にメスを入れたり、内視鏡などの身体に負担がかかる方法で治療をしなければなりません。できれば胆石にならないように予防したいところです。
胆石の形成には、肥満や過食、不規則な食生活、ストレスなどが影響しているといわれているので、これらを避けるような生活習慣を心掛けましょう。特に「脂肪の多い食事を取りすぎることは避ける」べきです。家族に胆石の患者さんがいる方はどうしても食生活などが似てくる傾向があるので、注意しましょう。
地域的に胆石患者さんの多い地区があるようです。何が原因かはわかりませんが、飲料水などの影響があるのかもしれません。周りに胆石治療を受けられた方が多い地域に住んでいる方は、地域性も念頭に置いて、生活習慣を改めてはいかがでしょうか。
なお、無症候性胆石の治療に関しては、医療機関により考え方の違いがあります。ただし、現在ほとんどの医療機関で腹腔鏡下の手術が第一選択として行なわれています。傷も小さく身体への負担も少ないため、黄疸(おうだん)などの重篤な病態に陥る危険を未然に防ぐことを目的として、予防的な手術を行なうことも考慮されています。
解説:山懸 基維
唐津病院
副院長兼外科部長
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