2023.10.11 公開
陥入爪 (かんにゅうそう)
acronyx
解説:川島 裕平 (中央病院 皮膚科)
陥入爪はこんな病気
陥入爪は、爪が周囲の皮膚に食い込んで炎症を起こし、爪周囲が発赤・腫脹する病気です。炎症の程度が強いと、肉芽(にくげ=外傷や炎症で欠損した部分を修復する際にできる新しい組織)ができることもあります。日常生活でさまざまな力がかかりやすい足の親指(母趾)に生じることが非常に多いです。
陥入爪の症状
足の親指の爪が周囲の皮膚に食い込み、赤く腫れて強い痛みを伴います。痛みが強い場合には、歩行が困難になることもあります。
陥入爪の検査・診断
診断に必要な検査はなく、皮膚の所見や経過から診断します。
陥入爪の治療法
テーピング法
食い込んでいる爪が周囲の皮膚から浮くように、粘着力のあるテープで爪周囲の皮膚を引っ張りながら固定します。
ガター法
点滴用チューブなどの柔らかい材質のチューブを爪が食い込んでいる部分に挿入し、医療用の瞬間接着剤(アロンアルファ)などで固定します。
爪母温存爪甲側縁楔状切除術(そうぼおんぞんそうこうそくえんけつじょうせつじょじゅつ)
テーピング法やガター法で改善されない場合、局所麻酔を行なった上で食い込んでいる爪を楔状(けつじょう=一端が広く先に向かって尖っていく形)に切除します。炎症の速やかな改善、痛みの消失につながります。
陥入爪は足の親指に生じることが非常に多いです。足の親指の爪が周囲の皮膚に食い込み、発赤・腫脹して痛みを伴う場合には、早めに皮膚科を受診しましょう。
陥入爪の原因は多岐にわたりますが、深爪などの誤った爪切り、つま先のきつい靴、薄くて鋭利な爪、多汗で皮膚が蒸れていることなどが挙げられます。
足の親指の爪は長過ぎず短過ぎず、先端が趾(ゆび)とほぼ同じ長さになるように切りましょう。爪の角は極端には切り落とさずに残し、ヤスリなどで少し丸みを持たせるようにしましょう。
解説:川島 裕平
中央病院
皮膚科
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。
※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。