済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2023.10.18
巻き爪とは、爪を先端から見た場合に内側に向かって丸く湾曲し、爪の下の皮膚を挟んだ状態です。巻き爪の原因は多岐にわたりますが、つま先の窮屈な靴を履き続けた影響、加齢、歩行の不足、外反母趾などの足の変形が挙げられます。
巻き爪と同様に足の親指(母趾)に生じることが多い病気に陥入爪(かんにゅうそう)がありますが、異なる病気です。治療や予防方法も異なるため、しっかりと鑑別して処置することが重要です。
爪が内側に向かって過剰に湾曲した状態になります。爪が周囲の皮膚に食い込んで炎症を生じた陥入爪とは異なり、巻き爪は必ずしも痛みを伴うとは限りません。多くは足の親指に生じます。
巻き爪の診断に必要な検査はなく、皮膚の所見や経過から診断します。
巻き爪だからといって必ずしも治療が必要とは限りませんが、転倒リスクの上昇、歩行時のバランス崩れを起こす可能性があります。
巻き爪の影響で爪が周囲の皮膚に食い込んで痛みを伴う場合には、食い込んでいる爪を除去して痛みを改善させます。さらに、巻き爪の程度が強く見た目が気になる場合は、以下のような矯正治療を行なうこともあります。なお、矯正治療の多くは自費診療となります。
巻き爪マイスター®︎
超弾性合金ワイヤの弾性力を利用して、爪の湾曲を矯正します。2週間から3カ月程度の装着により、さまざまな形状の巻き爪の改善が期待できます。
リネイルゲル®︎
爪を軟化させる作用のあるゲル状の外用薬を巻き爪の表面全体に塗布します。巻き爪マイスターなどの矯正器具との併用により、矯正治療のみでは改善が困難な強度な巻き爪も改善が期待されます。
巻き爪は急に発症することはなく、長い年月をかけて徐々に爪の湾曲が強くなってきます。巻き爪の見た目が気になってきた場合や、歩行時に痛みが現れてきた場合には、早めに皮膚科を受診しましょう。
巻き爪の原因は多岐にわたりますが、つま先の窮屈な靴はなるべく避け、小さすぎず大きすぎない適切なサイズの靴を選びましょう。
予防には、正しい方法で爪を切ることも大切です。深く切りすぎず、指先と同程度か、指よりも少し長いくらいがよいです。
また、爪はもともと弯曲していますが、歩行時に指の腹側から踏み込む力がかかることで平らに近い形を維持しています。寝たきりの人に巻き爪が多いのはそのためです。足を前に出す際はつま先が正面に向くようにし、着地の際には踵から着地してそれから足裏全体に重心を乗せ、そして親指を押して蹴り出します。安定した歩行に重要な筋力増強、運動習慣も巻き爪予防の一つとして大切です。
解説:川島 裕平
中央病院
皮膚科
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