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2021.01.06
男性の陰茎(いんけい)先端部分である亀頭部を覆っている皮膚を包皮(ほうひ)といいます。
乳児期には包皮が亀頭部を覆っています(包茎=ほうけい状態)が、成長とともに包皮を翻転(はんてん=ひっ繰り返すこと)できるようになります。包茎状態の場合、包皮と亀頭部の間に細菌が繁殖し、感染すると、亀頭包皮炎を発症します。具体的には黄色ブドウ球菌、大腸菌、レンサ球菌などが原因になることがあるようです。
包茎状態であれば大人も発症しますが、主に乳幼児や、学童に多くみられます。大人の場合、高度の包茎(包皮を全く翻転できない状態)であったり、亀頭包皮炎を繰り返し発症していることも多く、炎症が落ち着いたら手術療法(包皮環状切除術)を検討します。
陰茎先端および、時には先端から2cm程度離れた部分まで、包皮が赤く腫れます。腫れた部分に触れると痛みます。排尿時に痛みを感じることや、陰茎先端から膿が分泌されることもあります。
一般的に、泌尿器科専門医であれば、陰茎を見て、観察することで診断がつきます。大人の場合、陰茎がんの潜伏が判明することもあります。
抗生物質で治療をします。通常、数日で症状は改善しますが、腫れが治まった後、包茎状態の治療を検討する必要があります。
小児の包茎については、包皮翻転を促すことになりますが、具体的な方法は予防の基礎知識の項目を参照してください。なお、包皮翻転を促す時には軟膏を塗布することもあります。大人の包茎については、程度にもよりますが、通常は手術療法(包皮環状切除術)が検討されます。小児についても高度の包茎の場合、手術療法(包皮背面切開術)が検討されることもあります。
主に、子どもが「おちんちんが痛い」と訴えてからの発見となりますが、乳児期の間は、おむつ交換の際に、赤く腫れたり、膿が出るなど陰茎に異常がないかどうか注意することで発見できます。
包茎を改善させることが、予防につながります。
小児の包茎については、自然に改善することも多いのですが、少しずつ包皮をむく練習を乳児期から行ない、数年かけて包皮を翻転させるようにするとよいでしょう。
子どもが痛がるような指導ではトラウマになることも危惧されますので、子どもが自発的に、包皮をむくように指導することが大切です。
なお、包皮が翻転できた場合、そのまま放置すると、亀頭部への血液の流れが滞り、嵌頓包茎(かんとんほうけい=包皮が戻らなくなり腫れや痛みを起こす)となることがあります。したがって、小児のうちは包皮をむいた後、必ず包皮を元に戻すようにしてください。
心配な人は、近くの泌尿器科を受診し相談してください。
解説:今津 哲央
千里病院
泌尿器科部長
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