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2019.06.26
陰茎など性器の周辺に尖った形の小さないぼがみられるウイルス性の性感染症です。一般的に初期の場合には、痛みやかゆみなどの症状がほとんどありません。そのため、感染に気づかないことも少なくありません。
主にヒトパピローマウイルス(HPV)の6型と11型に感染することで生じます。 いぼの中にウイルスが存在し、感染者との性交の際に病変部と接触した皮膚や粘膜に感染します。
ウイルスの潜伏期間は人によってさまざまですが、感染の機会があってから数週間から数カ月といわれています。
乳頭状、カリフラワー状、あるいは鶏冠(けいかん:鶏のとさか)のような特徴的ないぼが、性器(陰茎の亀頭、冠状溝、包皮、膣など)や肛門周囲などに認められます。はじめのうちは、自覚症状はさほどありませんが、徐々に大きくなると痛みやかゆみ、時に出血などもみられます。
一般的には、上記の特徴的ないぼを確認するための診察が重要となります。または、いぼを詳しく調べるPCR検査という遺伝子検査などが行なわれることもあります。
大きく分けて2通りの治療法があります。
1)クリームによる治療
イミキモド5%クリームという薬品を用います。性器や肛門周囲のいぼの治療に適応があります。一般的に、まずこの治療が可能かどうかを検討します。なお、このクリームを実際に使用する際には、「塗った状態で性交を行なわない」などいくつかの守るべきポイントがあるので注意が必要です。医師や薬剤師の説明を受けてから使用開始するのが大事です。
2)外科的治療
いぼが大きい場合などには、メスによる切除、レーザーによる焼灼・蒸散、液体窒素を用いた凍結療法などが行なわれます。なお、治療方法は、いぼの大きさや数、場所、そしてこれまでの治療の有無、回数などにより選択されます。
いぼが大きく、また多発するような場合には、悪性化の可能性もあるため、採取した組織を病理検査に提出するなどの配慮が必要となります。
治療によりいぼがすべてなくなったように見えても、再発する例が少なからずあるので、数カ月程度は通院を継続して、経過を見ていくことがとても大事です。
特徴的ないぼを見つけ出すことが最大のポイントです。主に陰茎包皮のいわゆる内側の部分や陰茎冠状溝というくびれの部分などでよくみられます。
区別するべきものとしては、真珠様陰茎小丘疹(しんじゅよういんけいしょうきゅうしん)というものがあります。これは尖圭コンジローマと同じく陰茎冠状溝にみられます。大きさはほぼ均一で、ほぼ等間隔に球形を呈して並んでいます。思春期の頃からだんだんと目立つようになりますが、全く問題はありません。正常な真珠様陰茎小丘疹と異なり、大小不ぞろいのカリフラワー様のいぼ、すなわち尖圭コンジローマが認められた場合には、陰茎などの外陰部のほかに、口の中や肛門周囲などにも認められることがあります。特に、いぼが小さい場合には、皮膚のしわなどに隠れて見逃しやすいこともあるので、注意深く確認しましょう。
いわゆる性感染症の代表的な疾患の一つなので、予防は可能です。まず、最大の防御方法として、性感染症に罹患する可能性のある性行為を行なわないことにつきます。コンドームの使用は感染の確率を下げますが、例えば男性では陰茎以外の肛門周囲や口腔内にも発生することがありますので、注意が必要です。
解説:堀田 浩貴
済生会小樽病院
副院長
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