済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2020.11.04
麦粒腫は、俗に「ものもらい」や「めばちこ」などと呼ばれ、ちまたでは大変よくみられる眼の病気です。まぶたの中の分泌腺に細菌が感染することで発症します。
睫毛(まつげ・しょうもう)の毛根部に付属する汗腺(モル腺)や皮脂腺(ツァイス腺)に細菌が感染することで引き起こされるものを外麦粒腫(がいばくりゅうしゅ)、まぶたの内部にある瞼板(けんばん)内を縦に走る脂腺である、マイボーム腺に細菌感染を起こすものを内麦粒腫(ないばくりゅうしゅ)と呼びます。
原因となるのは黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌など、人間の皮膚にすみ着くごくありふれた細菌の場合がほとんどです。
まぶたの痛み、発赤、隆起などがみられます。症状が進行すると膿が皮膚やまぶたの裏側の結膜の下に白い点(膿点)として観察されるようになり、ここから膿が自然に排出されると症状は改善します。
症状がはっきりと見た目に現れるため、視診での診断が可能です。
初期には抗生物質の点眼、軟膏の塗布、内服を行ないます。膿点が観察されるようになると、これを切開して膿の排出を促進します。
まぶたに発赤があっても、軽度で隆起が明らかでない場合には、綿棒などで軽く圧迫してみましょう。痛みを感じるなら麦粒腫である可能性が高いです。
日頃からまぶたの周囲を清潔に保つことが大切です。また、麦粒腫を発症したのちに、まぶたや結膜に慢性的な炎症がある場合もあります。そのため、治癒後もしばらくは治療を続ける必要があります。
高齢者で麦粒腫をたびたび発症する場合には、糖尿病などの易感染性疾患(感染症にかかりやすくなる病気)の有無を検査する必要があるとされています。小児では炎症がまぶた全体に広がりやすく、眼瞼蜂窩織炎(がんけんほうかしきえん)に発展する場合があるので注意が必要です。
瀬口 次郎
岡山済生会総合病院
岡山済生会外来センター病院
特任副院長
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