社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2013.02.01 公開
2025.05.27 更新

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

Palmoplantar Pustulosis

監修:木村 佳史 (東京都済生会中央病院 皮膚科 部長)

掌蹠膿疱症はこんな病気

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は膿がたまった膿疱と呼ばれる皮疹が、手のひら(手掌)や足の裏(足蹠=そくしょ)に数多くできる病気です。膿疱は、白血球の一種で炎症反応に関係する「好中球(こうちゅうきゅう)」が皮膚の最上層の角層にたまった状態です。
慢性的に経過し、周期的に症状が繰り返します。皮疹は最初小さな水疱であり、次第に黄色い膿疱に変化します。その後かさぶたとなり、角層がはげ落ちます。これらの皮疹が混じった状態で経過するのが特徴です。皮疹の出始めはかゆくなることも多いようです。皮疹の中の液体からはウイルスや細菌は見つかっておらず、免疫が関係する病気ではないかと推測されています。
また、慢性的に経過する中で、突然、鎖骨や胸の中央の胸鎖肋関節(きょうろくさかんせつ)などの関節が痛くなることがあり、掌蹠膿疱症性骨関節炎(しょうせきのうほうしょうせいこつかんせつえん)と呼ばれます。この痛みは非常に強く、日常生活が困難になる場合もあります。さらに放置すると、関節の変形などにもつながります。そのため、適切な治療が必要になってきます。
どちらかというとまれな疾患で、比較的中年以降の人に多いようです。

掌蹠膿疱症の治療法

この病気はウイルスや細菌が原因ではないため、抗生剤や水虫薬のような薬は効果がありません。そのため、炎症をおさえるための対症療法が主になります。
治療は、重症度に合わせて変わってきますが、最初の治療として、まず炎症をおさえるためにステロイド軟膏、ビタミンD3軟膏を使います。ただ、外用薬だけだとなかなかコントロールできない人が多いようです。その場合、さらに強力な治療として飲み薬が必要になってきます。ビタミンAに似た物質であるエトレチナートという薬は、強い副作用もありますが、効果的です。掌蹠膿疱症性骨関節炎が起きた場合は、免疫抑制剤なども使用されます。
最近では、病気を引き起こす原因は、免疫に関係していることが研究によって明らかとなり、その過剰な免疫反応だけを効率的に抑制する、生物学的製剤も登場しています。ほかの治療法で改善が望めないときには、かなり有力な選択肢になりますが、高額であることが難点です。

症状の改善には、以下のような例が効果的な場合があります。

1. 喫煙者が多いので、禁煙に効果があることもあります。
2. 扁桃腺が弱い人が多く、扁桃腺炎が起きると掌蹠膿疱症も悪化するようです。そういった人では、扁桃をとると治ることもあります。
3. 歯槽膿漏などの病巣や、歯科金属のアレルギーが原因のこともあるようです。そのため、歯槽膿漏の治療やアレルギーの原因となる歯科金属を除去すると治るという報告もあります。

監修:木村 佳史
東京都済生会中央病院
皮膚科 部長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。
※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。

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