2014.08.01 公開
2025.07.29 更新

咽頭結膜熱(プール熱)

pharyngoconjunctival fever

解説:田中 文子 (横浜市南部病院 小児科・新生児内科 主任部長)

咽頭結膜熱はこんな病気

咽頭結膜熱は、アデノウイルスが原因の感染症です。かつてはプール(水)を介して流行することもあったため、「プール熱」とも呼ばれますが、現在は塩素消毒の徹底によりプールで感染することが少なくなりました。多くは通常の風邪と同様に飛沫感染、接触感染によって人から人にうつります。
咽頭結膜熱は、主に3型、7型、また1型、2型、4型アデノウイルスの感染によって起こりますが、3型感染によるものが最も多いと言われています。咽頭結膜熱はこれまで夏に流行し、冬にも小さな流行がありました。しかし新型コロナウイルス感染症の流行とともに一時発生が減少し、2023年夏から冬にかけて、これまでにないほどの大流行となりました。年齢分布では、1~5歳の幼児がかかりやすいですが、成人でも発症することがあります。ウイルスの潜伏期間は5~7日で、突然の発熱で発症し、高熱が3~5日ほど続きます。このほかに、喉の痛みが現れ、目の充血や目やに(眼脂/がんし)もみられます。治療は対症療法です。
年によっては7型が流行することがあり、子どもや基礎疾患がある場合に重症の肺炎や脳症を起こす可能性があります。ただし、通常行なわれている迅速検査ではこれらの型の区別はつかないので、経過を注意深く観察しましょう。

早期発見のポイント

咽頭結膜熱の典型的な症状は発熱咽頭痛、目やに(眼脂)などです。熱型は、一日中高熱が持続することも、朝は微熱となり午後以降に高熱となることを繰返すこともあります。
口の中(咽頭や扁桃)の所見が比較的はっきりみられ、のどの赤みが強く、扁桃腺が腫れて白い膿がついていたりします。溶連菌感染症と症状が似ていますが、抗菌薬を使用しても解熱しないことも特徴の一つです。また、扁桃腺が腫れるため、いびきをかくこともあるので、その場合はかかりつけの医師に相談してください。また、アデノウイルス感染症では消化管症状も少なからず現れるので、下痢などの症状がみられる場合も咽頭結膜熱の可能性があります。

予防の基礎知識

咽頭結膜熱の感染経路は飛沫感染、または手指を介した接触感染です。したがって、咽頭結膜熱が流行している時期は、流水と石けんによる手洗いが大切です。タオルなどは感染者と共有しないようにしてください。アデノウイルスにはアルコール系の消毒薬の効果が乏しいことにも注意が必要です。発熱咽頭痛などの症状のある時は、プールなどには入らず、自宅でゆっくり休養しましょう。

なお、下痢でなくても便からは数週間ウイルスが排泄されるため、便の処理、おむつ替えの後の手洗いは重要です。また、学校保健法では出席停止の対象疾患となっているため、主な症状が消失してから2日経つまでは登校を避ける必要があります。

田中 文子

解説:田中 文子
横浜市南部病院
小児科・新生児内科 主任部長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。
※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。

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