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2018.12.12
耳下腺の腫れる病気で最も有名なものは「流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)」ですが、おたふくかぜは一回罹患すると原因菌のムンプスウイルスへの免疫ができ、繰り返し発症しないというケースがほとんどです。
一方、反復性耳下腺炎は、耳下腺のほかに顎下腺や舌下腺の腫脹を何度も繰り返す病気で、症状はおたふくかぜとよく似ています。う歯(むし歯)や口腔内の雑菌による感染、耳下腺の先天性異常、唾液停滞、アレルギー反応、ウイルス感染、内分泌の異常など多くの発症要因が推定されますが、現在のところ明確な原因は特定されていません。
1~6歳頃に発症し、年に数回両側または片側の耳下腺が腫脹します。初めて腫れたときはおたふくかぜとの区別は困難で、繰り返し腫脹することで初めて診断されます。おたふくかぜと異なり、発熱の症状は軽く、体温は37度台のことがほとんどです。また、激しい痛みを伴うこともまれなケースです。学校や保育所への通学に関連しておたふくかぜとの鑑別が必要になれば、血液検査などが実施されます。
反復性耳下腺炎 | おたふくかぜ |
年間に複数回かかることがある | 一度かかるとその後にかからないケースが多い |
痛みや発熱の程度が小さく、 耳下腺が腫脹するだけの場合もある |
激しい患部の痛みと発熱が現れる |
明確な予防法がない | ワクチン接種が予防に効果的である |
通常は成長とともに回数が減少し、思春期までには症状が見られなくなります。慢性唾液腺炎など成人に見られる唾液腺疾患に移行することは極めてまれと言われています。
対症療法が主体で、疼痛があれば痛み止めの投与が、感染が考えられれば抗生剤の投与が行なわれます。
おたふくかぜとの鑑別は初回では困難なため、繰り返しかかって初めて診断される病気です。周囲で流行が見られないときにおたふくかぜと診断されたり、耳下腺が腫れていても発熱などの症状が軽かったりする場合はこの病気の可能性があるため、症状などの記録があると診断の助けになります。
残念ながら、予防できる病気ではありません。診断された場合はうがいや歯磨きをして口腔内を清潔に保ち、むし歯があれば治療しておきましょう。ガムをかんだり唾液腺のマッサージをしたりして唾液の分泌を促すことも効果が期待できます。
解説:小田 直治
済生会境港総合病院
耳鼻咽喉科部長
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