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2018.11.28
アデノイド(咽頭扁桃ともいう)は扁桃腺と同じくリンパ組織の一つで、鼻の一番奥にあります。ここは上咽頭と呼ばれる部位で、下のほうでは口や喉とつながっています。また、耳の奥(中耳)とつながる管(耳管)も上咽頭につながっています。通常アデノイドは3歳頃に最も肥大化し、その後徐々に縮小し思春期までに消失します。
アデノイド増殖症はアデノイドの肥大が極端で、鼻呼吸ができないほど大きくなったり、そばにある耳管(中耳と鼻の奥をつなぐ管)を閉塞して中耳炎が治らなくなったりするなどの病的な状態をいいます。通常は3~5歳頃の小児に見られます。しかし、アデノイドの肥大はいずれの子どもにも見られ、ほとんどの場合は治療する必要はありません。
図:アデノイドの位置
耳管を圧迫することで急性中耳炎(鼻や喉に付着した菌が中耳に感染することで中耳に膿がたまる病気)を繰り返したり、滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん=風邪や急性中耳炎が原因で耳管の機能が障害され、中耳に体液がたまる病気)になりやすくなったりします。場合によっては、難聴を伴うこともあります。
そのほかに、鼻づまりや口呼吸、いびきなど呼吸にかかわる症状が現れます。睡眠時の呼吸がうまくできず(睡眠時無呼吸症候群という)寝不足になり、日中の集中力低下にもつながります。口呼吸が原因で、アデノイド顔貌(アデノイドがんぼう=口元が締まりのない顔つき)になったり歯並びが悪くなったりする例もあります。
通常アデノイドは成長に伴い縮小するため、症状が軽ければ通院治療を続けながら経過を診るという場合もあります。小学校高学年以降で年齢的にアデノイドの縮小が見込めなかったり、付随して起こる中耳炎や睡眠時無呼吸が重症であったりする場合、手術で切除することもあります。
急性中耳炎にかかる回数が多かったり、通常の治療で中耳炎がなかなか治らなかったりすることで発見されます。また、鼻づまりがひどく鼻炎や副鼻腔炎を繰り返す場合や、鼻呼吸ができないほどアデノイドが大きくなり、睡眠時無呼吸が起こった場合に発見されることがあります。
アデノイドの慢性炎症が原因でちくのう症(鼻の奥にある副鼻腔という部位に膿がたまる病気)を発症し、濃い黄色の汁が鼻から出たり喉に下がってきたりすることもあります。
アデノイドの大きさは個人差があるため、予防は困難です。風邪などの感染を契機に症状が悪化することがあるので、体調管理に気をつけましょう。鼻がかめない乳幼児では、家庭で鼻水吸引を行なうことも重要です。
解説:小田 直治
済生会境港総合病院
耳鼻咽喉科部長
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