2019.04.18 公開
滲出性中耳炎
Otitis Media with Effusion
解説:竹田 和正 (兵庫県病院 耳鼻咽喉科副部長)
滲出性中耳炎はこんな病気
滲出性中耳炎は、中耳(耳小骨、鼓膜、鼓室)で作られた分泌液が耳管から排出されず、中耳にたまってしまう病気です。子どもと高齢者が発症しやすく、子どもでは副鼻腔炎(蓄膿)やアデノイド増殖症、成人では悪性腫瘍などにより、耳管が塞がったり狭くなったりすることが原因に挙げられます。
図:中耳と耳管
滲出性中耳炎の症状
痛みはありませんが、中耳に分泌液がたまって鼓膜が動きづらくなり、音が聞こえにくくなります。また、自分で症状を伝えられない乳幼児の場合、難聴が原因で言葉の獲得が遅れたり、話しかけても反応しなかったりします。
滲出性中耳炎の治療法
鼻炎や副鼻腔炎の治療をしつつ、粘液溶解剤を投薬し中耳からの分泌液の排出を促します。症状が改善しない場合には、鼓膜切開術や鼓膜チューブ留置術を行ないます。それでも効果が足りないと判断されたとき、アデノイド切除術が行なわれることもあります。
成人の場合、耳が塞がったような感じ、水が入ったような感じがあり自分で異変に気づきます。しかし、先述の通り、子ども、特に乳幼児は自分の違和感を訴えることができないため、言葉の遅れやしゃべりかけても答えてくれないことなどを保護者が気にして受診し、初めて気づかれることがあります。早期発見が大事なので、子どもの異変が気になったら、耳の詳細な観察が可能な専門医を受診させるようにしましょう。
鼻炎、副鼻腔炎、集団保育、家族の喫煙などがリスクとなるので、気をつけるようにしましょう。また、子どもの場合、急性中耳炎をきっかけに見つかることが多いといわれます。急性中耳炎を発症した場合、完治するまで治療を受けましょう。
解説:竹田 和正
兵庫県病院
耳鼻咽喉科副部長
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