済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
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2019.04.18
滲出性中耳炎は、中耳(耳小骨、鼓膜、鼓室)で作られた分泌液が耳管から排出されず、中耳にたまってしまう病気です。子どもと高齢者が発症しやすく、子どもでは副鼻腔炎(蓄膿)やアデノイド増殖症、成人では悪性腫瘍などにより、耳管が塞がったり狭くなったりすることが原因に挙げられます。
図:中耳と耳管
痛みはありませんが、中耳に分泌液がたまって鼓膜が動きづらくなり、音が聞こえにくくなります。また、自分で症状を伝えられない乳幼児の場合、難聴が原因で言葉の獲得が遅れたり、話しかけても反応しなかったりします。
鼻炎や副鼻腔炎の治療をしつつ、粘液溶解剤を投薬し中耳からの分泌液の排出を促します。症状が改善しない場合には、鼓膜切開術や鼓膜チューブ留置術を行ないます。それでも効果が足りないと判断されたとき、アデノイド切除術が行なわれることもあります。
成人の場合、耳が塞がったような感じ、水が入ったような感じがあり自分で異変に気づきます。しかし、先述の通り、子ども、特に乳幼児は自分の違和感を訴えることができないため、言葉の遅れやしゃべりかけても答えてくれないことなどを保護者が気にして受診し、初めて気づかれることがあります。早期発見が大事なので、子どもの異変が気になったら、耳の詳細な観察が可能な専門医を受診させるようにしましょう。
鼻炎、副鼻腔炎、集団保育、家族の喫煙などがリスクとなるので、気をつけるようにしましょう。また、子どもの場合、急性中耳炎をきっかけに見つかることが多いといわれます。急性中耳炎を発症した場合、完治するまで治療を受けましょう。
解説:竹田 和正
兵庫県病院
耳鼻咽喉科副部長
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