済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2023.07.26
急性硬膜外血腫は頭部の外傷によって、脳を覆う硬膜と頭蓋骨の間に血液がたまる病気です。頭蓋骨の骨折などで硬膜動脈や脳静脈洞が損傷し、出血することで生じます。
若年者に多く、乳児や高齢者は頭蓋骨と硬膜が密着しているため、発生頻度は低いとされています。
脳挫傷などの合併によって、受傷直後から強い意識障害や麻痺を伴う場合があります。
ただ、硬膜外血腫の特徴的な症状としては、受傷直後は意識障害がない、もしくは一時的な意識障害だけですぐによくなることがあります。
しかし、血腫が増大することで後から頭痛や嘔吐などの症状が現れ、その後、意識障害、麻痺、瞳孔不同(どうこうふどう=左右の瞳孔の大きさが異なる状態)などの神経症状が徐々に悪化していく場合があるので注意が必要です。
多くは頭部CT検査で、頭蓋骨の線状骨折(線状のひびが入った状態)と、そのすぐ下に凸レンズ状の血腫がみられます。血腫は、最初は少量でも時間の経過とともに増大して症状が悪化することがあるため、受傷直後は繰り返し頭部CT検査を行なって状態を確認します。
神経症状がない場合でも、数日は慎重に経過観察をする必要があります。
意識障害、麻痺などの神経症状の進行がみられる場合や、血腫が厚かったり血腫量が多かったりする場合は、「開頭血腫除去術」という手術を検討します。脳実質(脳そのもののこと)損傷の合併がない場合は、手術により比較的良好な経過をたどる可能性が高いため、時期を逃さず速やかに手術をすることが重要です。
頭部の外傷後に意識障害がみられた場合、その後意識障害が改善しても、再び意識障害が進行し生命にかかわることがあるため、病院を受診して頭部CT検査を受けることが重要です。
頭部外傷を起こさないように予防することが大切です。
自動車に乗る際のシートベルト着用、幼児のチャイルドシート利用、自転車に乗る際のヘルメット着用など、頭部の保護を心がけてください。
高齢者の場合は転倒、転落の予防、脚立など不安定なものの使用を制限することなどが重要です。階段を使わなくてもすむよう、生活環境を整えるなどの対策も有効です。
解説:井口 雅博
水戸済生会総合病院
脳神経外科 主任部長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。