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済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
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2016.02.29
加齢黄斑変性とは、網膜の中央の黄斑が老化することによってものが見えにくくなる病気です。黄斑は、文字を読んだり、色の識別をしたりするのに重要な部分です。
顔面水平断面図
この病気は加齢が原因で起こります。また、喫煙も原因の一つであることが分かっています。欧米では成人の失明原因・第1位の病気であり、日本でも社会の高齢化と生活様式の欧米化に伴って患者数が増えてきています。症状は、物がゆがんで見える、色の区別がつきにくい、中心が暗く見えたり欠けたりする、はっきり見えないなどです。
また、加齢黄斑変性には「新生血管型(しん出型)」と「非新生血管型(萎縮型)」の2つのタイプがあります。
新生血管型は、眼の中に異常な血管ができて網膜を障害します。異常な血管は、正常な血管と違い、血液の成分が漏れたり血管が破れたりします。このタイプは進行が早く、治療が遅れるとすぐに悪化します。一方、非新生血管型は、網膜の下にある細胞が少しずつ萎縮することで網膜が障害されます。症状の進行は遅いですが、治療法がないため経過観察するしかありません。新生血管型に移行する場合もありますので、定期的に検査を受けるようにしましょう。
非新生血管型の加齢黄斑変性には決定的な治療法がありませんが、新生血管型には以下のような治療法があります。
・抗VEGF硝子体内注射
・レーザー光凝固
・光線力学的療法(PDT)
抗VEGF硝子体内注射は、異常な血管を作らないようにする薬を眼球に注射する治療法です。この治療法が開発される前は、レーザー光凝固、PDTなどの治療法が一般的でしたが、これらの治療法は症状の進行を抑えるだけでした。しかし、抗VEGF硝子体内注射は、視力を改善することも可能になっています。また、前述のように、加齢黄斑変性には色の区別がつきにくくなるという症状がありますが、抗VEGF硝子体内注射を行った患者のなかには「世界がカラフルに見えるようになった」という人もいます。ただし、高価な薬でもありますので、眼科医と相談して治療に取り組むようにしましょう。
2012年に京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授が、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を発見した功績でノーベル賞を受賞しました。そのiPS細胞を用いた世界初の臨床研究が、2014年9月、新生血管型の加齢黄斑変性の患者に対して行われました。具体的には、iPS細胞から作った網膜の細胞を患者に移植するという手術です。手術から1年以上が経過していますが、治療効果は良好なようです。現在治療法がない非新生血管型に対しても、今後応用されることが期待されます。
加齢黄斑変性かどうかを自己診断する方法として、「アムスラー検査」が有名です。
下図のような方眼状の図(アムスラーチャート)を、片目づつ見て見え方を確認します。そのときに、中心がゆがんで見える、暗く見える、部分的に欠けて見えるなど見え方に異常がある場合は、加齢黄斑変性の疑いがありますので早期に眼科医に相談しましょう。
アムスラー検査
加齢黄斑変性は、早ければ50歳から発症のリスクがあります。50歳を超えたら、以下の3つのポイントに注意して生活するようにしましょう。
1 加齢黄斑変性の危険因子の一つである喫煙を控える
2 ビタミンC、ビタミンE、βカロチン(ビタミン)、亜鉛などを含んだサプリメントを飲む
3 緑黄色野菜を摂取する
解説:安藤 伸朗
新潟第二病院
眼科部長
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