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2016.02.24

緑内障

Glaucoma

解説:安藤 伸朗 (新潟第二病院 眼科部長)

緑内障はこんな病気

緑内障は、眼圧が高くなり視神経が障害されて起きる病気です。眼圧とは、眼の中を流れている「房水」という液体が、一定の圧力で循環することによって生じる力で、この眼圧によって眼の形状は保たれています。

眼の水平断面でみる房水の流れ
眼の水平断面でみる房水の流れ

厚生労働省研究班の調査によると、緑内障は日本の失明原因の第1位です。また、日本緑内障学会が行った大規模な調査によると、40歳以上の日本人における緑内障有病率は5.0%であることが分かりました。つまり、40歳以上の20人に1人は緑内障にかかっているということです。

緑内障にはその原因によってさまざまなタイプがあり、それぞれの特徴は以下のようになります。

緑内障の種類

病名 原因
原発閉塞隅角緑内障 房水の流出が障害されて起こる緑内障
原発開放隅角緑内障 房水の流出が障害されていないのに起こる緑内障
続発緑内障 ほかの病気があり、それが原因で起こる緑内障
発達緑内障 生まれつき隅角に異常があるタイプの緑内障

※隅角とは房水が流出する経路のことで、ここが閉塞しているとうまく房水が流れません

日本人の緑内障で最も多いタイプが、原発開放隅角緑内障の中の「正常眼圧緑内障」です。正常眼圧緑内障は、眼圧が正常範囲であるにもかかわらず、視神経が障害される緑内障で、40歳以上の3.6%がこの病気にかかっているといわれます。

緑内障の症状

緑内障の特徴的な症状は、視野が徐々に狭くなっていくことです。ただし、症状の進行はゆっくりであるため、気付いたときには病気がかなり進んでいることもあります。人間の視野は通常約180度ありますが、緑内障が進行すると20度しかなくなってしまう場合もあります。視野が20度でも、見えている部分に関しては視力が1.0ということもありえます。また、急激に眼圧が上昇することで、眼の痛みや頭痛吐き気などを感じることもあります。

早期発見のポイント

「医学解説」でも述べたように、日本人の緑内障の中で最も多いタイプが原発開放隅角緑内障の中の「正常眼圧緑内障」です。緑内障の診断のためには、眼圧検査、隅角検査、眼底検査、視野検査という4つの検査がありますが、正常眼圧緑内障は、眼圧検査によって見つけることはできません。正常眼圧緑内障を見つけるためには、眼底検査が必要です。人間ドックなどで定期的に眼底検査を受け、なるべく早期に緑内障を発見するようにしましょう。

緑内障の治療法

緑内障は現在根本的な治療法はなく、一度見えなくなってしまうと、元の視力に戻すことはできません。現在行われている治療法も、病気の進行を遅らせることを目的としています。緑内障の治療では、どんなタイプの緑内障であっても、眼圧を下げる治療を行います。正常眼圧緑内障の治療でも、眼圧を下げる治療を行います。数値としては正常の範囲内であっても、その人にとっては眼圧が高すぎるということがあるからです。
眼圧を下げる治療には、薬物、レーザー、手術の3つの方法があります。基本的には、点眼薬を用いますが、効きの悪い人もいます。そのような場合には、レーザーや手術などが行われます。

早期の治療開始が重要

仮に、40歳で緑内障を発症して治療をせずに放っておくと、数十年後には失明してしまいます。それが早期に治療を開始すれば、100歳を超えても視力を保つことができるのです。下図は治療の効果のイメージですが、緑内障の治療は早く始めれば始めるほど視力を長く維持することができます。

緑内障の治療と視力
緑内障の治療と視力

緑内障の治療を早期に開始し、少しでも失明の可能性を減らせるように、定期的に検査を受けるようにしましょう。

参考
日本眼科学会「緑内障」
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/ryokunai_ryokunai.jsp

安藤 伸朗

解説:安藤 伸朗
新潟第二病院
眼科部長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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