済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約66,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2014.08.20
発熱や痰などの風邪症状が治まったにもかかわらず、せきだけが全く治まらないといった症状が8週間以上続いている場合は、せき喘息の可能性があります。
せき喘息は、慢性的にせきのみが続く気管および気管支の病気です。喘息と同じでさまざまな刺激に対して過敏に気管・気管支が反応して狭くなり、炎症やせき発作が引き起こされてしまいます。その要因としては、ハウスダスト、カビ、ペットの毛、花粉、冷たい・暖かい風、タバコの煙、会話、運動、飲酒、精神的緊張などが挙げられます。風邪と一緒に起こることが多く、風邪をひいた後に2~3週間以上せきが続くことがあれば、発症した可能性があります。また、特にアレルギー体質の人に多く発症すると報告されており、近年患者さんの数は増加しています。女性に多い傾向があり、しばしば再発を繰り返すこともあります。
風邪薬、抗菌薬、せき止めは、せき喘息に対してほとんど効果がありません。治療としては、気管支拡張薬(気管支を拡張させて通気をよくし、呼吸を楽にする薬)や吸入ステロイドを中心に行います。気管支拡張薬は、せき喘息の診断にも用いられます。気管支拡張薬を吸入してせき症状が治まれば、せき喘息だと考えられます。吸入ステロイドに関しては、内服薬のステロイドと異なり、気管・気管支に直接作用するために全身的な副作用が少なく、局所の炎症を抑える効果があります。現在、吸入ステロイドと気管支拡張薬が一つになった吸入薬も発売されており、治療として用いられています。
また、せき症状が治まったからといって治療をすぐに止めてしまうと再発する可能性があるので、数カ月は治療を継続することが必要です。
自然に症状が治まることもありますが、約30%が喘息に移行すると言われています。喘息への移行を予防するためにも、早い段階から吸入ステロイドによる治療が必要とされています。
解説:今岡 治樹
大牟田病院
内科医長
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