2020.08.12 公開
白板症
leukoplakia
解説:浜川 裕之 (西条病院 歯科口腔外科センター長)
白板症はこんな病気
身体の外側が皮膚で覆われているように、口の中は粘膜で覆われています。白板症とはその粘膜の最も外側の部分である上皮が肥厚したもの(細胞数が増えて膨らんだ状態)で、その下の毛細血管が透けて見えなくなり、結果的に白く見える状態を指します。痛みはありません。顕微鏡で見て異形を伴う場合は、がんの前段階にあたる前がん病変として扱われます。
白板症の原因
正確な原因は分かっていません。ただし、次のような口の中の慢性的なさまざまな刺激などが考えられます。
・アルコール
・タバコ
・不良補綴物(ふりょうほてつぶつ=合っていないかぶせ物)
・ビタミンA、Bの不足
・加齢
など
白板症の診断
口の中が白くなる病気は他にもいくつかあります。カビが増殖した真菌症やニコチン性口内炎、乳頭腫などです。カビの場合はこすると取れますが、白板症は取れることがありません。表面の状態により均一型、不均一型がありますが、後者の方がよくないです。

均一型の白板病
白板症の治療法
不良補綴物のある位置が白板症発生部位と一致していて、不良補綴物が原因と考える場合は除去して経過観察します。表面が不均一な場合や異形がある場合は白板症の切除を推奨します。均一型で異形がない場合はしばらく経過観察してよいでしょう。
口の中はライトを当てれば、誰でも鏡で見ることができます。歯磨きの後は、時々舌、口蓋(口の中の上側の部分)、頬粘膜、口底(舌の下の部分)などを観察しましょう。擦っても取れない白色のできものに気づいたら、口腔外科を受診しましょう。
確実な予防法はありませんが、日ごろからしっかりとブラッシングをして、口を清潔にしましょう。尖った詰め物は歯科医院で研磨してもらいましょう。気になるものが見つかったら、口腔外科を受診してください。
解説:浜川 裕之
西条病院
歯科口腔外科センター長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。
※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。